豪森林火災とわたしたち

 

昨年9月から始まったオーストラリアの森林火災。ここ最近の報道からは、遠く離れた日本にいても深刻な状況であることがわかります。洗濯かごに入れられ動物病院に連れていかれるコアラや回復が見込めず安楽死処分をされるカンガルー・・・。オーストラリアの象徴ともいえる動物たちの元気な姿はいつになったら戻るのでしょうか。

そんな中、本日の朝刊各紙に新たな情報が。防衛省が森林火災への対応策を支援するため、国際緊急援助活動として航空自衛隊の輸送機2機を派遣すると発表したのです。日経新聞によるとすでにニューサウスウェールズ(NSW)州の豪空軍基地に到着しているとのことです。

そもそも国際緊急援助活動の活動内容をご存知でしょうか。恥ずかしながら筆者は学校で習ったにもかかわらずうろ覚え状態でした。「PKOとの違いは何だっけ」といった具合です。改めて調べてみると、想像以上に多岐にわたる活動が。そして歴史があるのだと知りました。

日本が国際緊急援助活動を始めるきっかけとなったのは70年代のカンボジア難民支援でした。78 年 12 月 25 日にベトナムがカンボジアに侵攻し、大量の難民がタイとカンボジアの国境地帯に逃げ込んみました。欧米諸国がカンボジア難民への支援活動に動くなか、日本は当初、経済的支援のみにとどまっていました。そのことへの批難の声が日本国内で高まり、初めて医療チームが派遣されたのです。またこれをきっかけに国際緊急医療チーム(JMTDR)が設置されました。

しかし、この時は医療チームのみ。85年9月のメキシコ地震、同年11月のコロンビア火山噴火に医療チームを派遣した際、「医療支援だけでなく、救助隊員や災害対策の専門家の派遣を含めた、総合的な国際緊急援助体制の整備が必要」との認識が広がり、87年9月「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」(JDR法)が生まれました。これが今日の国際緊急援助体制の基盤です。

歴史を遡ってわかる通り、自衛隊だけでなく警察や消防、医療従事者など多くの人の努力があって成り立ってきました。オーストラリアの森林火災の映像に、多くの人は自分にできることはないかと思い、胸を痛めたことでしょう。しかし、こうして見ると私たち国民が納める税金は有意義に人のため役に立っているのです。

今私たちがオーストラリアのためにやれることは少ないかもしれませんが、国際緊急援助活動がどのようなことをしているのかニュースなどを通して理解することは、大切なことの一つかもしれません。

 

参考記事:

11月16日各社オーストラリア森林火災関連記事

 

参考資料:

独立行政法人 国際協力機構 国際緊急援助とは / 国際緊急援助の歴史

AFP通信 震災火災で負傷したコアラ 仮説病院に次々搬送

CNN 森林火災で重傷のカンガルー、ゴルフ場へ避難も安楽死処分に