マリオ、ゲームの外へ「Here We Go!」

彼はいまや世界で一番有名といっても過言ではない「配管工」です。口ひげを生やし、赤い帽子にオーバーオールといういで立ちで走り、ジャンプします。そして時に連れ去られた姫を助けるため敵に立ち向かい、あるいはカーレースをし、そしてテニスやサッカーなどスポーツもこなします。

そう、彼の名前はマリオです。

ファミコンゲーム「スーパーマリオブラザーズ」が発売されて35年。様々なゲームが発売され、その魅力は世界中に広がっています。私も小学生の頃より「マリオカート」の大ファンで、今も毎日一定時間をカーレースに捧げています。

これまでマリオとその仲間たちに会えるのはゲームの中だけでした。それが変わりつつあります。

ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は夏の東京五輪・パラリンピックまでの開業を予定する「SUPER NINTENDO WORLD」のアトラクションの一部を報道陣に公開しました。専用リストバンドを付けると来場者がゲームの世界に入ったかのような感覚になることができます。

USJは訪日客の増加を見込んで、集客力を強化したい思惑があります。一方で任天堂はゲーム事業に加えてキャラクター事業への本格参入を目指しています。その背景にあるのは資金力があるグーグルやアップルのゲーム事業への参入です。ゲームで強固な地位を持つ任天堂は対抗するための開発費を稼ぐ為に、新規事業を広げる必要があるのです。

実際に2019年11月には東京、渋谷に「NINTENDO TOKYO」という国内初のマリオグッズを販売する直営店をオープンしました。年末年始に帰省した際に立ち寄ったのですが、昼前の時点で整理券配布は終了し入店まで3時間待ちという大盛況ぶりでした。周りを見渡してみると、訪日客の姿も目立ちました。

NINTENDO TOKYOにて、筆者撮影。2020年1月3日。

グッズショップでさえ長蛇の列が出来る人気ぶりです。テーマパークも多くの人でにぎわうことが予想されます。

「ミッキーと肩を並べたい。」

マリオの生みの親である宮本茂代表取締役フェローの言葉です。

ミッキーは世界で一番有名な「ネズミ」です。彼を人気者にしたのは映画であり、テーマパーク「ディズニーランド」でした。

私はマリオがミッキーに追いつくためには「没入感」がキーワードになると思います。ディズニーランド・シーは非常に詳細な部分にまでこだわって作られており、特に入園後は園内以外の建造物は目に入らないような工夫がなされています。ひとたび入れば、大人も子供心に帰ることが出来る。その様な世界感を作り、人々をゲームの世界に連れていくことが出来るのか。ファンの一人として見守っていきたいです。

 

参考記事:

15日付 日本経済新聞朝刊(大阪12版)13面(企業)「マリオ、目指すはミッキー流」

同日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)7面(経済)「マリオ気分でコインゲット!」

同日付 読売新聞朝刊(大阪13版)8面(経済)「USJでマリオの世界へ」