日本社会を覆う閉塞感 打破するためには

今日の朝日新聞朝刊に、ある統計データが載っていました。日本財団による「18歳意識調査」です。「自分を大人だと思うか」「自身が責任ある社会の一員だと思うか」「自分で国や社会を変えられると思うか」という問いに対する18歳の回答はそれぞれ29.1%、44.8%、18.3%しかありませんでした。

また「日本の将来についてどうなるか」の問いに、良くなると答えたのは9.6%。一方、「どのようにして国の役に立ちたいか」に対し、役に立ちたいと思わないと答えたのは14.2%でした。米国や中国、韓国、インド、ベトナムなどでの調査結果と比較して、日本は全項目で否定的、消極的な答えの割合が圧倒的に高くなっていました。

社会問題に関心が低く、国の将来に悲観的な若者像が浮き彫りになった形で、由々しき事態です。しかし、筆者の感覚的にはある程度予想範囲内の結果でした。普段、大学で感じる空気と大差ない結果だったためです。

近年の日本の状況を鑑みると、将来を不安視するのは至極当然でしょう。所得格差の拡大、国の借金、ブラック企業、過労死、老々介護、待機児童、引きこもり、食料自給率、ジェンダー格差、異常気象、地震、インフラの老朽化、東京一極集中と過疎化など、先行き不透明な課題が山積しています。特に急速な少子高齢化と人口減少は深刻です。

社会の明るいニュースというと、スポーツ以外で何か目立つものはあるでしょうか。近年、多様性の価値は広く認められるようになりました。在日外国人や混血児などへの差別は一部残っているものの、身体障害者や知的障害者、LGBTQなどマイノリティーに対する認知や権利の向上は一定程度進んだと思います。しかしながら、社会に蔓延する不安を全て吹き飛ばすような明るいニュースはありません。

このような情勢を踏まえると、日本の衰退は不可避だと若者が諦念するのも仕方ないような気がします。近年、カリスマ的なリーダーが若者の人気を集めているのも、状況を顕著に反映しています。孫正義、本田圭佑、落合陽一。彼らは事細かな統制や監督は行わず、人々に共感されうる未来像を示し、人々を納得させるセンスメーキング型のリーダーです。彼らを求めるのは、我々が自信喪失に陥っているからなのです。

しかし、国家の衰退は不可避だと恐れてばかりではどうしようもありません。運命に変えるには、若者が勇気を持って、社会の閉塞感を打破していく必要があります。そのためには、まず我々の自己効力感を高めることが重要です。

自己効力感とは、自分は十分に出来る、自分は社会で価値が認められているのだ、という自信を持つことです。人々がお互いに認め合い、リスペクトし合い、言葉に出して褒め合う。この相互作用によって、我々はコミュニティーの中で存在価値を見出すことができます。また、学園祭や体育祭、グループワークなど、組織活動での成功体験も自己効力感の向上に貢献します。

自己効力感が高まれば、自分が属する組織に関心を持ち、影響を及ぼそうと考えるようになります。そして、望むべき社会のあり方を明確に描き、変革へのシナリオを練ることが出来ると思うのです。

社会問題への関心云々よりも、まずは意識改革です。

皆さん、明るい未来を信じて、物事を前向きに捉えましょう!

 

参考記事:

5日付 朝日新聞朝刊(東京13版)2面「ルポ2020 対話を諦めず 運命を委ねない それが民主主義」

 

参考資料:

日本財団「第20回 18歳意識調査 調査報告書【日本】」

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/11/wha_pro_eig_98.pdf