休業騒動

安倍政権が働き方改革を政策の主軸に定めて久しい昨今。当初は懐疑的な声も上がっていましたが、今では朝方勤務や残業時間の規制など様々な方策が国・民間それぞれで打ち出されています。

さて、誰もが24時間営業を当然だと思っているコンビニも変化を迫られています。人口減少や高齢化の進展に伴い、人手不足が多くの業態で深刻化する中、セブンイレブンは約50店舗で元旦の営業を中止する実験を来年実施します。同様の実験はローソンも実施予定で、これにより客の反応や売り上げへの影響を計る目的があるようです。

そんな中、今日セブンイレブンの本部社員が大阪・東大阪市にある東大阪南上小阪店を訪れ、契約解除の意向を通告しました。この店の店主である松本実敏さんは、以前からアルバイト従業員の不足から時短営業を申し入れていた、コンビニ業界の働き方改革の「火付け役」ともいえる人物です。

関西在住の筆者が夕方のニュース番組を見ていると、各局相次いで大きく取り上げていました。オーナーの松本さんによる反論や、逆にセブンイレブン本部側の反論などを紹介していましたが、論調としてはどちらかと言うと松本さん寄りの感じも…

契約解除の理由は、「クレームの多さ」と「松本さんによる社長への誹謗中傷」。年20件程度のクレームが平均的だそうですが、この店舗では70件を超えていたそう。また、松本さん自身がツイッターで発信している内容も、本部の目に留まり、信頼関係を構築するのが困難になったために契約解除に踏み切ったのです。

▲松本さんのツイッター投稿の一部。論理が飛躍した投稿もちらほら。

人手不足に悩まされるのはどの業界、どの会社も同じです。しかし、だからといって、自らの手でサインした会社との契約を一方的に破って時短営業や元日休業を行おうとするのはいかがなものかと思います。

そもそも、コンビニは現代となっては24時間営業が当たり前になっています。それ自体を売りにして商売しているのに、オーナーがオーナーの意思で勝手な形態変更を試みるのには納得がいきません。

24時間営業という会社の営業方針を外がどうこう言うべきではなく、それとは切り離して人手不足を解消するための手立てを考えなければならないのに、この騒動のせいでピントがぼけた議論になってしまっているのが残念です。

僕は、これからも分け隔てなくコンビニを利用し、分け隔てなく従業員の方に感謝し続けます。

参考記事:

20日付 朝日新聞朝刊14版 7面(経済) 「セブン元日休業 直営店のみ」