かんぽ生命の不正販売問題で日本郵政グループが社内調査結果を公表しました。ノルマ偏重がもととなった組織の腐敗が明らかとなりました。
営業成績が悪い局員は恫喝され、ノルマに追いつめられて不正に手を染めました。また、成績の良い局員も「生活レベルを落とせない。」と募集手当欲しさに手を染めました。
その他にも局員が自己申告で認めなければ不祥事案と認めない「否認文化」や、問題を「矮小化する風土」など企業統治不全が明るみに出ました。しかし、経営陣の記者会見の様子はどこか他人事のようで危機感は見られませんでした。
「打ち出の小づち一本で風土改革が出来るとは思っていない。」
日本郵政の長門社長は会見中の発言です。組織の風土改革には時間がかかると認識しながら、その姿勢は悠長だと感じます。
私が所属していた部活動では新人勧誘活動や新人教育にも力を入れていました。それは強いチームを作るためには人が重要になるからです。
人は組織に影響を受けます。組織に入った直後の教育はその後の行動を左右します。そして、一人一人の行動が組織の「色」を決めていきます。一度不適切な「色」がついてしまうと、基本的には先輩が後輩を指導するため状況を打開するのは難しくなっていきます。
しかし、部活動は良い意味でも悪い意味でも4年でメンバーが入れ替わります。一方で長い歴史を持つ日本企業の現在の経営層の年代は基本的に終身雇用を前提に入社し数十年と「メンバー交代」はありません。この状態で一度ついてしまった「色」を刷新するのは非常に難しく、並々ならぬ努力が必要だと考えます。
「しかるべき経営責任はしかるべき時に取る。」
長門社長は自身の進退についてこのように発言しました。「しかるべき」時は今です。どのような変化を遂げるのか、注目し続けたいと思います。
参考記事:
19日付 かんぽ不正販売問題 各紙関連記事