スペインで開催されている気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)での会議が難航しています。パリ協定では、産業革命前と比べた気温上昇を2.0℃未満、できれば1.5℃以内に抑えるという目標が定められていますが、これの方策を巡って締約国の間で意見が対立しています。
特に、日本は石炭火力発電所の新設を相次いで計画しており、先進国で唯一、日本だけが海外への輸出を行っていることも批判の要因となっています。発電において高効率とされる石炭火力を進めたい経済産業省としては、梶山大臣が選択肢として残すことを明言しており、国際NGO「気候行動ネットワーク」から不名誉とされる「化石賞」を受賞したところです。
日本では、初めての大々的な外交デビューとなった小泉環境大臣の言動が注目を集めていましたが、同時に世界的に有名になっている少女グレタ・トゥーンベリ氏の行動も大きな関心を寄せています。
若者の間ではグレタ氏への共感が確実に広がっています。6日には静岡県浜松市において中高生400人が「未来を守れ」と声を上げながら温暖化対策を求めて行進しました。欧米でも「学校ストライキ」の動きがあります。
一方、世界の政治家などはグレタ氏の批判の声を上げていることも事実です。ブラジルのボルソナロ大統領は「マスコミがあんなガキを取り上げているのには驚きだ」となかなか厳しい言葉を用いて痛烈に批判。ロシアのプーチン大統領も「私はグレタ氏の演説に熱狂できない」と述べています。アメリカのトランプ大統領もツイッターに「落ち着け!」と投稿しました。
こうした人々は、グレタ氏のような革新的な人にとっては「敵」と映っても仕方ないでしょう。記者に「大の大人たちはなぜあなたを恐れると思うか」と聞かれ、「彼らが持つ世界観、あるいは利害が私たちに脅かされていると感じるのだろう」と答えています。
彼女のどこが素晴らしいのか、どこに魅力があるのか、筆者には全く分かりません。強いて挙げるなら、世界中に名前と顔が知れわたってもびくともしない強靭なメンタルくらいでしょうか。彼女のような、何の責任も負わない人たちは、好きなことを言っても行動する必要に迫られていないから自由に発言できるのでしょう。しかし、政治家は異なります。政治家は、たとえ理念があってもそれを達成するためには複雑な利害関係を解きほどいて少なくとも1ミリでも前に現状を進める必要があるはずです。彼女のような声も「いち意見」としては存在するでしょうが、効率の良い石炭火力を持ちたい電力会社や、それを開発する多くのメーカー、そしてインフラを世界に輸出する目標だって無視できない存在です。
ましてや彼女はまだ10代。ずば抜けた秀才でない限り、政治や科学の知識は特別なものは持っていないはずです。普通の少女にあれこれ振り回されるような大人にはならず、責任感、そして行動する指導者こそが問題を解決できるのであって、彼らこそがしっかりしなければならないのです。
国際会議にピンクのラフな格好で現れ、腕を組んで睨みつけるようにトランプ大統領を見る。そんな礼儀の知らない少女は、今すぐ学校へ戻り、たくさんの知識と世界を知ったうえで意見を言うべきでしょう。
参考記事:
15日付 朝日新聞朝刊14版3面(総合3)「石炭火力 批判浴びる日本」
参考資料:
ロイター通信 ツイッター動画(15日18時45分アップロード投稿)