マクドに倣え 飲食店の利益率向上

日本マクドナルドホールディングスが好調です。カナダ出身のサラ・カサノバ氏が経営に参入してから7年目。今年の全店売上高は2010年の5427億円を上回り、最高記録を更新すると見込まれています。

4、5年前には、製品への相次ぐ異物混入事件に直面していました。中国の下請け工場が消費期限切れの鶏肉を使用していたという問題も発覚し、マクドナルドへの信頼は失墜しました。誰もが品質や衛生面を不安視するようになり、主要な顧客だった家族客が離れていきました。

その危機を乗り越え、全店売上高でV字回復を果たすまでの道のりには、カサノバ前社長(現会長)の様々な工夫がありました。「タウンミーティング with ママ」という活動を通じて、全国の子育て世代の母親と意見交換の場を持ちました。顧客の声を取り入れて、品質管理の具体的な解決策を打ち出し、安全性のアピールに注力しました。不採算店は大量閉鎖し、採算状況も改善。メニューでは単価高めの新商品を提供した他、100円追加するとパティが倍になる「夜マック」を導入して、客単価の引き上げに努めました。

特に利益率を高めたのは、混雑緩和の取り組みです。経営不振に直面した15年から、店舗の改装に力を入れました。内外装を清潔感あふれるデザインに刷新しただけでなく、注文と受け渡し口を分けたカウンターを導入しました。

結果、レジ前の行列が大幅に緩和されました。子供連れの家族客でも待ち時間のストレスが少なくなり、入りやすくなる効果があったようです。カウンターの整理が進んだ結果、店員のストレス軽減にも繋がりました。経営不振時の改革は短期的には大きな出費となったものの、長期的には実を結んだのです。

来客を捌ききれていない飲食店は他にも多くあります。行列は人気度を示す証左となる一方、会計と食事をさっと済ませたいお客さんを逃しているように見えます。

経営者の皆さん、マクドナルドを見習えば利益率を大幅に向上できるかもしれませんよ。

 

参考記事:

13日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)17面「マック新装 家族呼び戻す」