生理は隠すべきものなのか

 

新聞はページをめくるぶんだけ、読者を知らない世界に連れて行ってくれる。新聞小説の魅力に迫った前回の記事でそう書きました。では、それ以外はどうか。筆者は小説の他にオピニオン面を読むのも好きです。とくに朝日新聞の声欄はお年寄りから若者まで、世代を超えて多くの人の話を聞くことができます。

そんな声欄ですが、本日の朝刊に次の「お題」が発表されていました。「生理は隠すもの?」です。女性の生理をオープンに語ろうという動きがあります。一方、秘するべき恥ずかしいものだという考えもあります。生理をめぐる環境について、考えや体験をお寄せ下さいという選定理由も添えられていました。筆者もひとりの女性として周りの人がどう考えているのか気になります。というのも理由にもある通り、ここ最近、生理に関する話題を新聞やSNSを通して度々見かけるからです。ここでは話題の内容を紹介し、みなさんとこのテーマについて考えることが出来たらと思います。

まず11月下旬からの紙面上で賛否が分かれている大丸梅田店の「生理バッジ」から。これは小山健さんの漫画「生理ちゃん」に出てくるキャラクターが描かれたバッチで、身に着けると自分は生理中だと周りの人に伝えることができます。働きやすい環境づくりを。そんな願いが込められた試みが世間から注目されるようになってからというもの、社会的に意義があると好意的な反応がある一方で、従業員のプライバシーはどうなるのかと批判的な意見も。SNS上では「セクハラにつながるのでは」「生理だと知らなくても、しんどそうな人には優しくすればいい」「『生理なので体調がよくない』と言える職場環境にしてほしい」という声も上がっていたと朝日新聞の記事で紹介されています。

また「#NoBagForMe」とよばれる生理用品ブランド・ソフィの運動も一時期盛り上がりを見せていたといえるでしょう。生理用品を購入する際、商品を隠すための袋が必要か店員さんから尋ねられることに注目して、始まったプロジェクトです。日経MJの記事でソフィは以下のようなことを語っていました。

「私には袋は要らない」というメッセージは、ドラッグストアなどで店員が生理用品を隠すように透けない袋に分けて入れることへの違和感を表す。買い手も売り手も、当たり前と受け入れてきたことを「なぜ隠す必要があるのか」と問い直すことをきっかけに、生理について気兼ねなく話せる環境をつくるのが、プロジェクトの目的だという。

 紹介したふたつの運動を知ったうえで「生理は隠すもの?」という問いに戻ります。筆者であれば、こんな投稿をするでしょう…

《私は「人それぞれ」としか言えないのではないかと思います。隠す、隠さないは人それぞれの自由です。ただ「#NoBagForMe」運動が盛り上がりを見せていた時に違和感を覚えたのは、あたかも女性全体がそう感じているかのように書かれていたことです。生理について周りはもっと知るべきだと思う人がいる一方で、今まで通り隠し通したい人がいるのも忘れてはいけません。何も答えを一つに絞る必要はないのです。

それともう一つ。私の留学先、韓国では2016年ごろに似たようなデモが行われていました。生理用品が高価だと女性たちが声を挙げたのです。中には「生理は隠さねばならないことでも、恥ずべきことでもなく、人間の自然な生理現象」だと知らせるため、赤色の染料がついたナプキンを路地に張り付ける人もいたそうです。

時を経て先月末。ソウル市議会の行政自治委員会は満11歳~18歳までの女児に生理用品を支給することを決めました。意識改革に、女性らのデモは効果を発揮したといえるでしょう。声を上げるという行為は無駄なことではなかったのです。》

声欄に合わせて500字前後でまとめました。みなさんだったらどんな内容にしますか。

 

参考記事:

12月3日朝日新聞朝刊オピニオン面「声」募集

11月28日朝日新聞「『生理バッジ』取りやめへ」

11月13日朝日新聞「生理のこと、隠す?隠さない?」

11月16日日本経済新聞「女性の生理に広がる理解」

参考資料:

日経MJ「生理用品なぜ隠す?」

2016年7月4日ハンギョレ新聞「生理用ナプキンが高すぎる…」

11月29日聯合ニュース「18歳以下の全女児に生理用ナプキン支給」