SNSの魔の手から守れ!

オンラインゲーム、TwitterのDM機能をはじめ、顔も知らない人と繋がるツールが多くある。今年8月には、ついにLINEもオープンチャット機能を開始。誰でも参加出来るグループを通して「友達」追加していない人とも交流出来るようになった。

便利になっていく反面、SNSが原因で事件に巻き込まれる未成年者が年々増加している。栃木県内で保護された少女も、Twitterがきっかけで大阪から約13時間かけて連れ去られてしまった。子供とSNSの関わり方について今一度見直さなければならない。

今回、考えるにあたり、SNS好きな友人に匿名世界の魅力について聞いたところ、次のような回答を得た。

「本来と違う自分で話せる気楽さと楽しさがある。」

普段の生活では多かれ少なかれ空気を読みながら発言するが、実名を隠した世界では本来の自分や置かれている状況にとらわれないところが好きだという。あくまで「自分と他人」ではなく「架空の自分と他人」の交流を楽しんでいるようだ。

一方で子供たちはどうか。友人のように割り切っているのであろうか。答えは「否」だ。はじめは、匿名であっても徐々に自分の情報を明かし、「自分と他人」のやり取りに転じてしまう可能性が高い。また、交流が深まるにつれ、顔も知らない相手を、「他人」から「知り合いの人」にランクアップしてしまうなど、警戒心が薄まることもありそうだ。このような子供たちをSNSから守るためにはどうしたらよいのだろうか。

一番の劇薬はスマホの使用禁止だ。だが、普及ぶりを見るとあまり現実的ではないだろう。また、親がスマホをチェックすると言っても削除機能や非表示機能でいくらでもごまかせてしまう。まず取り組むべきは、いくらSNSで交流を深めたといっても、「他人」であることには変わりないことを子供たちに伝えることであろう。誰もが幼い頃、「知らない人にはついていくな」と学校や親から何度も注意されてきた。これからは、それに加え「ネット上のつながりは現実と違う。知らない人であるのに変わりはない」ことも指導していかなければならない。

知らない人だからこそ、実生活では口に出せないようなことまで気軽に話せてしまうことがある。悩みも打ち明けたくなるときもある。だが、世の中には優しい素振りをみせて、その弱みにつけこむ人もいる。子供たちへSNSの危険性を周知することが、今求められている。

参考記事
26日付 朝日新聞(14版) 35面「『頼れそうな大人』 SNS潜む悪意」