地方創生、手法変わらず

「東京一極集中」、そこまで非難されることなのでしょうか。仕事はないよりあった方がいいでしょうし、条件も良いに越したことはありません。仕事もあって、条件もいい土地、東京に人が集まることは当然ではないかとも感じています。その結果が今朝の読売新聞の朝刊に表れていました。

17日、総務省は2014年10月1日現在の日本の総人口推計を発表しました。前年に比べ、人口は21万5000人減り、1億2708万3000人になった他、自然人口減が初めて25万人台になったことや、総人口の8人に1人が75歳以上の高齢者になったことが取り上げられ、深刻な少子高齢化状況が述べられています。それだけでなく、東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、福岡、沖縄の1都6県のみで人口が増加し、残りの40県は全て人口が減少しています。秋田と青森では1%以上の人口減少が見られ、地方から都市への人口流入は依然として続いています。記事では、その理由としてアベノミクスが一定の成果を上げ、企業活動が活発になったことが取り上げられており、首相は政府の掲げる「地方創生」を通じ、地方の雇用を創出し、都市から地方への移住を促したい考えです。

地方が活性化することは勿論素晴らしいことでしょうし、その結果として日本全体の活力になれば、それもまた大変素晴らしいと思います。しかし、現政権を含め、各政権が言葉こそ違えど、地方の活性化に努めてきたにも関わらず、今回掲載されているような都市部への人口流入改善されていないのが事実です。地方に雇用を生み出し、その地域に若い世代を定着させようとした政策それ自体に問題があったのかもしれませんが、筆者はそのようには考えておりません。冒頭でも述べたように、雇用が問題の原因であるならば、仕事が多く、条件も良い東京などの大都市に流れていくことは当然なのではないでしょうか。いくら地方に雇用を生み出せても、東京と同じ条件を提示することは現実的に厳しいでしょうから、雇用の創出だけで人口流出の問題解決を図るのは難しいと考えています。また、人口流出はどうしても避けれないでしょう。移民の是非も含めて今いる人々だけでどのように地域を維持するかを考えていく必要もあるのではないかとも考えています。

人が離れていくということは、そのモノや地域がその人の需要を満たしていないということではないでしょうか。欲しい商品がない店には行かないことと、職を求めて都市部に人々が流出することは同じことのような気がしてなりません。東京をはじめとする都市部はそれを満たせているだと考えています。都市部と同じ雇用を提供することは現実的に厳しく、生活の基盤となる部分で需要を満たせていない以上、流出は避けれないでしょう。少ない人口で地域を維持していくには、地域に人を戻す政策ではなく、今いる人々だけで地域を維持していくような、これまでとは異なるアプローチも必要なのかもしれませんね。

参考記事:18日付読売新聞朝刊(東京14版)1面 「自然人口減 初の25万人」より