「AI・ロボット」という社会のクスリ

新聞を開けば、毎日「AI」という言葉が目に映ります。また、それらは教育や経済などの各分野で導入され始め、新しい戦力として期待されています。ある研究では、日本の労働人口の49%がAIなどで代替可能と言われています。最近では、地方公務員の仕事へ進出しようとしています。役所ではどんな役割を担うのでしょうか。例えば、窓口業務の24時間対応、持続可能な県にするための政策の助言などが挙げられます。

しかし、人間と会話する際に発する言葉や、アドバイスをするまでの過程は目に見えません。つまり、AIのブラックボックス化が大きな障害と言えるでしょう。

この問題を解決するため、多くのIT企業は「XAI」の開発に取り組んでいます。「XAI」とは「Explainable(説明可能)AI」の英文表記を略したものです。要するに、どのような過程を踏んで、その結論に至ったのかを可視化して、特有のトラブルを防ぐ技術です。

さて、日々発展し続けるAIを搭載したロボットは、人間に近い存在へと進化しています。そこで問題になるのはジェンダーです。私たちは無意識に性別を与えています。例えばペッパーくん。背が低く、高い声とその容姿は、何となく幼い男の子を想像させます。「確かにそうだ」と思うかもしれませんが、この考えこそ危険なのです。

(https://matome.naver.jp/m/odai/2154049395439822701より画像を引用)

 なぜそのような特徴を持っていれば、幼い男の子と想像してしまうのでしょうか。ジェンダーに関するステレオタイプな考えが、ロボットによって再び拡散される危険性があります。よって、男女平等社会に対する意識を崩壊するのでは、と考えます。

また、ロボットは普段の生活をより快適にする道具として開発されました。つまり、「人間の欲求の塊」と捉えることも可能でしょう。それを自然と受け入れることは、開発者の欲を肯定していることに変わりません。もし、体格のいいロボットがヒーローとして描かれるならば、人間の男性もそうあるべきだと重ねてしまうこともあります。

「便利で優秀だから」と、簡単に人間社会の扉を開けて迎えてもいいのでしょうか。今より楽になりますが、副作用も大きいでしょう。ロボットに接する人間に、まだまだ課題があるようです。

参考記事:

23日付 日本経済新聞朝刊 12版14面「役所窓口、AIで無人に?」

12版16面「AIの判断根拠 解明へ開発激化」