岡本社長、パワハラをご存知ですか

「テープ回してないやろな」と言ったのは冗談。「全員クビにするからな」と言ったのは身内を勘当するようなもの。今日の午後2時から行われた吉本興業の会見で社長の岡本昭彦さん(53)が言い放ちました。自身のパワハラ体質を問われると、そんなつもりはないが相手がそう感じたならそう、といいます。ご当人のパワハラへの認識が甘いように感じました。大会社のトップの理解度の低さに憤りさえ覚えます。

先日、世の中はパワハラに神経質になっていると感じたことがありました。昨年働いた、単発のアルバイト先で、殴る蹴るなどの暴力を目撃しました。時間は経ったものの、先月このパワハラ行為を通報しました。そのときのことです。

弁当工場で一日限りのアルバイトをしていたときに、上司が部下に乱暴するのを目にしました。どうすればいいか悩んでいたところ、半年以上経ったころに新聞記事でパワハラの電話相談窓口があるのを知りました。早速、あかるい職場応援団というWebサイトで知った、東京労働局の総合労働相談コーナーに電話をかけました。担当者の助言で弁当会社のお客様相談室に電話し、暴力の状況を20分以上にわたって事細かに証言しました。「直営工場ではないので、工場の経営者に伝えます。その結果は必ず2、3週間後には知らせます」という回答を得ました。

「パワハラがあったことは認めます。不快な思いをさせて申し訳なかった」と3日前に電話で報告を受けました。工場を運営する社長と工場長がパワハラを認め、弁当会社に説明にきたことを知りました。被害者を希望通り別の部署に移らせたことや、加害者には個別の指導をしたことなどを詳細に説明してくれました。

パワハラを放置すれば、間違いなく弁当会社にも批判がきます。私の通報に対して丁寧な対応をしてくれたのは、それほど神経質になっているからでしょう。正直、素直に認めると思っていなかったので、驚きましたが、通報してよかったと思いました。

パワハラはあってはなりません。あったならば、それを認めて謝罪し、改善していかなければなりません。今日の会見では、岡本社長はパワハラが何かもわかっていない上に、事の重大さを認識していないと感じました。認識を改め、より神経を使って対応しなければ、時代に取り残されていくことでしょう。

今日の会見では多くの人が納得していないと思います。私自身、そんな環境にある芸人さんたちを心から楽しめなくなりました。一刻も早く、パワハラ改善に向けて動くことを願います。

 

参考記事: 22日付 読売新聞朝刊(東京17版)18面(社会)「吉本興業社長きょう会見」

5月27日付 読売新聞朝刊15面「[あんしん相談所]パワハラ対策の義務化って何?」

あかるい職場応援団:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/