男性諸君、誰のための育休だと思っているんだ

就職活動を通して、仕事と子育ての両立について考えるようになりました。好きな職場で働きつつ、結婚も出産も育児もしたいという強い願望があったからです。その希望を叶えやすいかどうかは、企業選びにおいて重要度の高い条件でした。

企業の説明会に足を運んでみると、どこも「女性の働き方」に対する支援制度についてアピールしていました。産休・育休取得率の高さや厚生労働大臣が「子育てサポート企業」と認定した企業に与える「くるみんマーク」があることなど、女性が活躍できる環境が整っていることを強く訴えかけていました。実際に仕事と育児を両立している女性社員が登場し、自身のキャリアとライフスタイルについて話していることもありました。

中には、男性の育休について紹介する企業もありました。厚労省によると、昨年の男性の育休取得率は約6%。女性に比べると取得率は圧倒的に低く、まだまだ十分であるとは言えません。実際に取得しやすい環境があるのか、機能している制度なのかは検証が必要ですが、男女隔てなく社員の子育て支援に取り組もうとする姿勢に好感が持てました。

女子学生の間では、結婚したいか、子供は欲しいか、仕事を続けたいか、といった議論は、決して珍しくありません。「女性の活躍社会」が声高らかに叫ばれているとはいえ、共働き家庭ではまだまだ女性側の負担が重い印象があるからです。仕事を続けながら子供を育てられるかどうかは、企業選びにかかっていると言っても過言ではないと考えています。

でも、男性はどうでしょうか。「子供が欲しい」「育休をとりたい」と口では言いながら、実際に仕事と子育ての両立が可能かを基準に企業選びをしている男子学生を見たことがありません。同じように就職活動をしているにもかかわらず、男女間でこれほどの差が生まれるのはなぜなのでしょうか。単に男性の人生設計に対する意識が足りないのか、それとも女性のみが考えざるを得ない社会なのか。就職活動の時点で、男女には大きな格差があるのだと感じました。

将来、同世代の男性と結婚したら、そのような意識を持った人と家庭を築くことになります。女性が子育てや家事の負担を強いられる可能性が高いということです。いくら政府や企業のトップが力を入れて制度を整えても、社会全体が変わらなければ意味がないのです。

朝日新聞の記事によれば、近年、子育て中の男性が職場で嫌がらせを受ける「パタハラ」が問題となっています。パタニティー(父性)ハラスメントの略で、パタハラを理由に会社を訴える裁判が相次いでいるそうです。育休を取る男性が増えていることの表れである一方、裏を返せば「男性が育休を取るなんて」という考えがその他大勢の男性に残っていることも意味しています。

出産は女性にしかできませんが、子育ては夫婦でするものです。可愛い我が子の成長を側で見たくはないのかな、と不思議に思ってしまいます。男女ともに仕事もライフワークも充実した生活が送れるような社会であってほしいものです。

 

参考

15日付 朝日新聞朝刊(東京13版)33面(生活)「育休後の男性 相次ぎ会社提訴」

厚生労働省HP「くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて