定期テストをやめた学校

学生である以上、絶対に避けられないもの。それは定期テストです。多くは各学期の中間・期末に実施され、その結果と日頃の授業態度で成績が決まります。しかし、一部では定期テストをやめている学校も出てきています。東京都では、昨春に全廃した千代田区立麹町中学校、また今春から廃止した世田谷区立桜丘中学校が例に挙がります。

ではどうやって成績をつけるのでしょうか。

桜丘中では週に3回「積み重ねテスト」を実施しています。ある1教科の単元を出題範囲として、その結果を評価に反映させます。開始時刻はなんと朝の8時30分頃。20分で解答できる問題が、B4版1枚にずらりと並びます。生徒は黙々と解いていきますが、本心はどうでしょうか。

生徒はこれまでの勉強法を変えなければいけません。中学生向けの塾では、近隣の学校の過去問を塾生からもらい、試験期間に配布する所があります。部活などで時間の限られた生徒は、直前の対策で点数を取らなければなりません。なので、毎朝と放課後に練習があり、休日も試合で埋まってしまうような部活に所属している場合、不公平だという声が上がってもおかしくないと思います。

一方、出題範囲が狭くなるので、勉強しやすいという意見も。1つの単元が終わってから期間を空けずにおこなうことで、「授業についていけない」という問題が解消されます。教員も「個々でサポートしやすい」という点で、一定の支持があります。

このような改革を実施することには賛成ですが、1つ疑問に思うことが。「生徒と保護者への説明は十分にされていたのか」ということです。記事には「テストがなくなると喜んでいたが、現状は全く違いだまされた」「テストが複雑になり、よく分からない」と書かれています。要するに、学校側の説明が不十分だったのではないかという印象を受けました。

学校の教育方針を変えるということは、生徒だけでなく保護者にも影響を及ぼします。なので、教育の土台はこの3グループの信頼関係にあると考えます。この関係を尊重しながら対応することが、より良い教育に繋がるのではないでしょうか。

参考記事:

1日付 朝日新聞朝刊 13版19面「定期テスト やめました」