ピアノは片手でも弾ける

昨日の朝日新聞夕刊に左手のピアニスト、館野泉さんの記事が掲載されていました。東京藝術大学出身のピアニストで、65歳の時、脳溢血で右半身を思うように動かせなくなりました。その2年後から左手のみの演奏活動を始めています。左手のピアニストとして今年で15年目。現在は、自ら音楽祭の企画も手掛けています。

筆者は3歳の時からピアノを習い、小学生の頃にはコンクールに出場するなど本格的に取り組んでいました。今もたしなむ程度に練習しています。そのため、左手1本で活動するピアニストの存在に驚きました。

インターネットで拝見した左手のみの演奏は、音域が広くてトリルもある曲でした。ちなみにトリルとは、元になる音符とその2度上の音の間を細かく交互に弾くものです。通常、右手で弾きますが、左手でこんなに早く指が回るのかと驚きました。館野さんはもともとピアニストです。ある意味で弾けて当然かもしれませんが、現在82歳であることを考えると、まさに超絶技巧の技です。

工夫すれば健常者のピアニストが弾く音楽となんの遜色もない曲が奏でられる。2本の手を駆使するピアニスト以上の感動を与えられるのではとも思います。

筆者はピアノに加えて、フルートも習っていました。楽器を持って演奏するだけでなく、両手を使わないと出ない音があります。片手で演奏することは不可能です。そうした楽器は多くあります。ピアノは片手で取り組める数少ないものなのかもしれません。

最後に、ご本人の著書「命の響」には

音楽をするのに、手が一本か二本かなんて、どうでもいい。大事なのは、何を表現するか、聴く人に何を伝えられるか。

と書かれていました。何かハンデがあっても、好きなこと、伝えたいことがあれば取り組める。80歳を超えてなお、演奏活動を続ける館野さん。記事と著書を読み、何かを始める時には、障害も年齢も関係ない、そう確信します。

参考記事:
6日付 朝日新聞夕刊 (3版) 3面「左手のピアニストの祭典 曲と奏者が広げる新世界」