〈就活は「ライアーゲーム」か〉
A:さっきの主従関係の話に戻しましょうか
B:結局「べき論」なところはあるように思う。
D:主従である「べきではない」ということは、主従になっている現実もあるってことですよね
C:感じる節はある。
A:主従ではないけれど、人事や採用の人は優しくても、最終面接などになると流石に雰囲気は変わる。
C:「内定承諾書」を書かせるところも多くて。紙の書類ということで無意識のうちに主従関係を認めていることはあるかも。
A:私は「他の選考を断るなら内定を出す」と言われたことがある。
C:それどこの話?
A:〇〇(某大手企業)。でも法的拘束力は無いと思う。
D:心理戦みたいになってくるのでしょうか
C:ある程度駆け引きが必要な場面もある。法的拘束力は無いのに心理戦に持ち込んで来るのが狡猾だと思う。
A:いわゆる「オワハラ」だね。
C:そういえば、面接の度に他社の選考状況を聞かれるのもどうなのだろう。
A:毎回聞かれるよね。「お前のところしか受けてるわけねーだろ!」っていう(笑)絶対採ってくれるなら1社しか受けない選択肢もありだけど。
B:結局、両者探り探りなんだよね。騙し合いみたいな。
C:「ライアーゲーム」みたいだな。
一同:(笑)
〈学生が板挟みに〉
D:他に就活で理不尽を感じたことは?
C:学業に影響が出ることもある
A:私は選考が重なって単位を落とした。最後のテストの日に絶対に行かなければならない選考があったので。単位を落としても内定がほしいという選択をした。
B:大学と企業どちらかが妥協しないと折り合いがつかないという…
A:学生が板挟みになるのはおかしい。
C:教職課程を履修している人は、教育実習と選考がかぶるのは「あるある」なわけで、一般企業と掛け持ちで選考するのが厳しい人もいる。
B:知り合いは、教員免許の履修を諦め、就職活動に振り切っていた。
C:なぜ、就活で何かを失わなくてはならないのか。解せない。
〈学歴フィルター「俺たちに明日はない」?〉
E:「大学」で理不尽を被ったことはありますか
B:インターンで、特定大学と覚書を交わしているところがあったのは悔しかった。自分の大学は締結していないので受け入れられないと断られた。
C:自分も同じことがあって腹が立った。電話で問い合わせても「特定の大学しか受け入れていない」の繰り返し。
B:大学側がインターン先を斡旋しているのか、企業が優秀な人材を青田買いしたいからなのか、いずれにしても理不尽さを感じる
E:学内の就活懇談会みたいのもありますよね。
C:そういう懇談会はあっても良いと思う。ただ、以前Twitterで「早慶上智の学生を優先受け入れ!」みたいな広告をデカデカと掲げていた企業があって。「特定の大学を優先しているくせに、何でわざわざあけっぴろげに宣伝しているんだ」って思った。
B:周囲には「お前、早慶だったら入れたのにな」と社員から言われた人もいた。
C:つまり、一定の学歴に当てはまらない「俺たちに明日はない」ってか(笑)。
〈女子学生の悩み〉
D.女子の立場から、就活で理不尽に思った経験は?
A.育休を女の人の制度のように思っている人が多いと感じた。そもそも周りの意識が変わらないと取得率も上がらない。女性にばかり強調するのではなく、全体に育休の大切さを伝えて欲しい。
C.いわゆるセクハラみたいなことはなかった?私の周りにはいなかったけれども。
A.私もなかった。もしかしたらあったのかもしれないけれど、気づかなかった。人事担当は面接官のちょっとした発言にも敏感で、ある時「こんな綺麗な人が仕事できるの?」と言われたのだけれど、あとで電話がかかってきて「うちの面接官がすみませんでした」と謝られた。
C.企業側も慎重になっているね。
座談会では「就活弱者」「企業と学生の主従関係」などが浮き彫りになった。これらの問題は特別な例ではない。就活生にとっては身近な問題である。売り手市場に湧く中、ようやく本来の選考解禁を迎える。今後、就活生の窮状は改善されるのだろうか。
現役就活生の筆者としては、就活が「企業が学生を見る場」だけでなく、「学生が企業を見ている場」でもあることを強調したい。
参考記事:
30日付日本経済新聞(電子版)・日経産業新聞コラム「6月1日『選考解禁』後、内定あっても就活は続く?」
7日付日本経済新聞(電子版)「大卒の半数内定、早期化進む 5月1日、民間調べ」