もうすぐ選挙に「仲間入り」

高校生の頃の筆者は、この権利の意義を理解できていたでしょうか。授業や部活動、就職準備、受験勉強、恋愛など、それなりに「忙しい」高校生活です。この権利にまで注意を払えたでしょうか。今日は選挙に関する大きな動きを皆さんと考えていきたいと思います。

5日、自民、公明、民主、維新、次世代、生活の6党と無所属の衆議院議員1名が、選挙権年齢を現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を衆議院に再提出しました。昨年6月から6党はプロジェクトチームを結成し、協議してきました。検討中の日本共産党を除いた他の会派も賛意を表明しており、今国会で成立する見込みです。早ければ、来夏の参議院選挙から適用となり、18歳から19歳の240万人が有権者の「仲間入り」ということになります。福祉、年金などの世代間問題で若い世代の意見が政治に反映されやすくなることが期待される一方で、教育現場での政治的中立性の確保や未成年者による重大な選挙違反の取り扱い、民法が20歳と定める成人年齢や少年法の適用年齢との調整などの課題が残されています。

筆者は引き下げには賛成です。民主主義において、一人でも多くの意見を反映することは良いことです。筆者自身、中学生の頃から政治に関心があり、今の大学や学部を選ぶ際にも大きく影響した記憶があります。だだし、諸手を挙げて賛成という訳ではありません。課題は二つあります。

一点目は、冒頭でも紹介したように高校生は「忙しい」のです。しかも、仕事を通して社会と深く関わる社会人と異なり、学校という閉鎖的な社会の中で、学校特有のものに囲まれて生活しています。選挙の重みが理解できず、いくら大切だと伝えても、流行の歌手やスポーツ選手の話題、英単語の暗記の方が重要な問題と捉えられてしまうのではないでしょうか。引き下げに合わせて選挙教育などを行っても、現実の社会と隔絶されていては聞き流されてしまう心配があります。

二点目は、投票率です。昨年末の衆議院選挙において20代の投票率は約32%でした。一番近い世代の投票率が低調なのに引き下げを行っても、若年層の意見反映の効果は薄いのではないでしょうか。働いている方も多い20代でこの数字ということは、18歳と19歳の投票率は更に低くなってしまうのではと懸念しています。まして新しく増える有権者は全体の3%程度であり、政治家がこの層に目を向けるかどうかにも注目しなければならないのではないでしょうか。

理念には共感でき、応援したい取り組みではありますが、現状では引き下げはただ有権者の頭数を増やすだけになってしまいかねません。引き下げという分かりやすいルール変更だけでなく、「新入り」が権利を行使できるような場を整えるのは、選挙の「先輩」である我々の責任なのでしょうね。

参考記事:本日付朝日新聞(東京14版):1、2、39面・同日付日本経済新聞(同版):1、4面・同日付讀賣新聞:1、3面