もはや当たり前

皆さんは、選挙の際にどのような候補者に投票しますか。地元で何期も当選している有力者や芸能人という方、何となくでも顔を知っている人という方が多いのではないでしょうか。筆者の周囲でも同じです。ですが、日本人全てが「顔」のみの判断で投票していたら、今回の事件は発生しなかったはずです。今回は政治家への支持について考えていきたいと思います。

望月義夫環境相と上川陽子法務相がそれぞれ代表を務める自民党支部が、2013年に国からの補助金交付の決定を受けた物流会社から寄付を受けていた問題です。両氏は11年と12年にも献金を受けており、望月大臣の支部は計530万円、上川大臣の支部は計90万円に上ることが明らかになりました。また、安倍首相はこうした企業からの献金の事実を議員本人が知らなければ、違法行為ではないことは明らかだと主張し、問題視しないと明言しました。

23日に同様の献金問題で当時の西川農水相が辞任した一件は記憶に新しいですが、「政治とカネ」に関係する問題を中心に、安倍政権の閣僚の不祥事が相次いでいます。望月大臣に関しては、地元支援者が行った賀詞交換会などで参加費徴収がされていなかった問題が指摘されたばかりです。

罰則のある違法行為でない以上、市民感情のみで罰せられてはなりません。もちろん我々一般市民にとって気持ちのいいことではありませんが、このような企業や団体、個人による政治献金は、ある意味で「真っ当な」判断の結果かもしれません。

自分に利益を供与してくれる人と不利益をもたらす人のどちらに投票したいですか。筆者はもちろん前者です。そんな候補が議員として活動し、自分の生活が少しでも楽になると感じたならば、彼に票を投じます。皆さんはいかがですか。筆者と同じ考えの方も決して少なくないのではないでしょうか。今回献金した企業も自分たちのビジネスが上向くようにと考えたのでしょうから、当たり前の行動ではないでしょうか。一種の事業投資といっても過言ではないかもしれません。

農協や連合、経団連など、日本には選挙における票田と言われる大きな組織がいくつも存在しており、選挙での支援の見返りに議員が利益集団に便宜をはかっていると度々、批判の対象になっていますが、こうした支援活動も今回の献金問題と根本は同じなのではないでしょうか。日本人は無党派層が多く、勤め先の企業を除くと特定の組織に参加している人は決して多くはないでしょう。そのため、今回の事件を当たり前と感じにくいとも考えられます。

もちろん規律違反は問題ですが、ルールの中で行われる行為を当たり前だと捉え、目くじらを立てず、そのような中で誰が自分の利益を代弁してくれるかを考えてもいいのではないでしょうか 。このような考えを持つ筆者は、物分りが良すぎるのでしょうか。

参考記事:本日付朝日新聞(東京14版):1,2,4,16面・同日付日本経済新聞(同版):4面・同日付讀賣新聞(同版):2,4面