毎日茶碗1杯分の食品ロス 

年間約646万トン。2015年に日本の企業と家庭で発生した、食品ロスの量です。一人当たり、毎日お茶碗一杯分のご飯の量にあたります。

今朝の紙面で気になったのが、「フードバンク 食品ロス」の見出しでした。フードバンクとは、食品メーカーの規格外品などを引き取り、福祉施設や困窮世帯に渡す仲介役のことです。食品ロスと貧困という二つの社会解決課題にアプローチできることからアメリカで始まり、日本でも2000年代から広がりを見せています。

しかし、いま肝心の食品が足りない現状が深刻化しています。一般社団法人「全国フードバンク推進協議会によると、全国の団体数が急増したことに加え、「子ども食堂」への食品提供が増えた一方で、提供される食品の量は変わっていないそうです。

記事では、その要因として認知度の低さが指摘されています。企業が寄付をすると廃棄費用が節約でき、税務上も寄付した分を損金に算入できるなどメリットがあることはあまり知られていません。そのため、国税庁がHPで税務上の扱いについてQ&A形式でまとめています。(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/11.htm)

個人からの食品の寄付を受け付ける拠点の連絡先をまとめた「全国フードドライブキャンペーン」も展開されています。家庭にある未開封で余った食品を集めて福祉施設等に届けるもので、缶詰やレトルト食品、乾麺、コメなどが対象です。活動は広がり、山口県には県庁やスーパーに設置されている「フードバンクポスト」があります。NPO団体と行政が協力して実施し、毎月100キロ以上の食品が集まっています。手軽に参加できるうえ、フードバンクを多くの人に知ってもらう手段にもなっていいなと思いました。

もう一つ考えたいのは、食の安全性です。NPO法人「フードバックネット西埼玉」の代表理事、黒田和代さんは「食中毒などが起きたらだれが責任を取るのか」などと、協力を断られることがあると話します。アメリカでは、「故意や重過失でない限り、寄付したものが原因で事故が起きても法的な責任を問われない」と定めた法律もあります。現在、超党派による「食品ロス削減及びフードバンク支援を推進する議員連盟」が発足し、「食品ロス削減推進法案」を公明党がまとめて、通常国会での成立を目指しています。体をつくる食だからこそ、安全性を第一に考えながらも、寄付を増やすための法整備や仕組みづくりが必要だと考えます。

 

参考記事:24日付 読売新聞 12版 17面 「フードバンク 食品不足」

1月21日付 読売新聞 「広がるフードバンク 子どもの貧困など背景 自治体も後押し」

11月28日付 日本農業新聞「子ども食堂 食材調達に苦戦 法整備で寄付しやすく」