たくさんの人の悩みに向き合ってきて、つらいと思ったことはないのだろうか。「まったくない」と茂さんは言い切る。「(相談者の抱える)どの問題も解決できることだったから。」けっして簡単なことではないだろう。個人の問題に付き合うにはそれ相応の覚悟が必要だ。
話していると、中年の女性が入ってきた。なんとなく暗い顔をしていたのが気になった。気がつくと、カウンターに座ってうつむきながら小声で話す女性に、スタッフが寄り添っていた。「相談に来た人だ」と茂さんの目が言っていたので、お礼を言ってその場を後にした。
この一年、「死ぬ権利」についてずっと考えている。蘇生や延命措置の拒否に関しては、あらたにすでの投稿を通じてほかのメンバーとも議論してきた。自死や安楽死にはやはり肯定的になれないが、自ら死を選ぶ権利は全否定できるものでもないと思うようになった。ただ、死に方について個人の意思が尊重されるべきだとしても、その人が「生きていたくない」と感じる状況を生み出しているものは何で、どうしたら改善できるかを本人と一緒に考えていくことは欠かせないと思う。
参考記事:23日付 朝日新聞朝刊(東京13版)25面(多摩地域面)「市長『我々も責任』 八王子・中学生自殺 会見で認める」
(動画)毎日新聞「ストーリー:東尋坊の命の番人・茂幸雄さん 自殺志願者救い続け14年 」https://www.youtube.com/watch?v=zz3tuIbYvmY
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