「安価第一」 薄れるブランドの存在

ユニクロやH&Mなどのファストファッションは値段が安く、手軽におしゃれを楽しむことが出来るので、定番のお店になっています。なので、長年愛されてきたブランドよりも、こちらを選ぶ傾向が強まっているのではないでしょうか。学生にはそれが顕著に表れていて、似た服を着ている人がキャンパスに何人もいるという現象が起こっています。

この間、服に関して友達と話していました。「ブランドで買った2万円のシャツと、それにそっくりな2000円のシャツがあったらどちらを選ぶか」と議論しました。服にこだわりのある彼女は、「やっぱり素材と形が違うと思うから高い方」と言いました。しかし、わたしはそこまで気にしないので、「安くて良いなと思えば、高い服はお金の無駄じゃん」と反論しました。ファストファッションが人気の理由は、わたしと似たような考えを持つ人が多いからだと思います。

では、安ければいいという考えは正しいのでしょうか。先日、店頭で見かけたシャツは、1枚590円でした。値段よりも、このシャツが作られた背景が気になりました。タグを見れば、made in China 。工場で製造する人は、一体どんな労働環境で、1日いくらの賃金をもらっているのでしょうか。他にも、輸送するトラックの運転手など、人件費がどのくらい含まれているのか不思議です。

一方、ブランド店では売れ残りを、新品のまま破棄することもあるそうです。セールで安く売ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、ブランド価値が下がってしまうということで、そう簡単にはいきません。

その問題に目をつけた「ファイン」という会社は、「Rename」という取り組みを始めました。ブランドで売れ残った商品を買い取り、タグや洗濯表示を手作業で切り取って、「Rename」のタグを付け替えて販売します。そうすることで、どこの商品か分からなくなり、ブランド価値を維持したまま在庫処分が出来ます。

ファストファッションが主流になっているからこそ、ブランドの売れ残りや中古を取り扱うお店が、これから重要な役割を担うと思います。服装に対する考えも、見直しの時期を迎えているのではないでしょうか。

 

参考記事:

1日付 読売新聞朝刊 「高級品「もったいない」 再利用」