死に方の自由

1日に約1万7000回。これ、何の数字だと思いますか。

答えは救急車の出動回数です。5.2秒に1回。あらたにすでも何度か触れられていますが、安易な119番通報を控えるべきというには、十分すぎる数字です。

しかし、緊急事態にもかかわらず、本人・家族が救急車を呼ばないケースはどう考えるべきなのでしょうか。本日の読売新聞朝刊には、自宅で最期を迎えることを希望している家族がいることを報じています。記事によると、救急隊が患者の家族に心肺蘇生を拒否されるケースが全国で2千件以上あった一方、5割以上の消防本部が拒否された場合の対応方針を決めていないとのことです。

平成29年の内閣府調査によると、5割超の方が、「最期を迎えたい場所」に自宅を選択しています。ただ、消防法には救急搬送や心肺蘇生を救急隊の任務としており、命を救うことが仕事です。現場任せでは、混乱が生じてしまいますし、誰も幸せにはならないでしょう。紙面に掲載されている通り、救急隊員や医師でつくる日本臨床救急医学会が提言した拒否された場合の対応を参考に、全国で運営方法を統一すべきなのではないでしょうか。

そして、改めて考えるべきなのが、「死に方」。どこで、どのように死ぬか。人生のピリオドの打ち方は、他人に迷惑をかけない限り、最大限尊重するべきなのではないでしょうか。どうやって「長生き」するかばかりが議論されがちですが、いつか迎えるその時を、どう満足できるものにするかも考えていきたいものです。

参考記事:

23日付 読売新聞朝刊(東京14版)39面(社会)「「自宅で最期を」救急隊戸惑い」