浸水する空港、燃え盛る駅舎、電柱が折れ曲がった道路。台風21号の影響で、関西地方を中心に各地で大きな被害が出ています。帰省時によく利用する交通機関や住み慣れたまちの惨状を目の当たりにし、胸が痛みました。実家のある和歌山県でも停電と断水が起こったようです。「食料や懐中電灯のほかにも、LEDランタンや車で充電可能なシガーソケット用USBなどが必要だと思った。学ぶことが多かった」と母が話していました。
混乱が続く中、昨日は北海道胆振東部を震源として、最大震度7の地震が観測されました。札幌出身の友人は、「地元は地震や台風の被害が少ないから衝撃が大きい。まさかという気持ち」と心配そうに話していました。山肌があらわになった土砂崩れや液状化により傾いた住宅街の写真を前にして、またしても大自然の驚異を思い知らされています。
被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。
災害が起こるたびに、自分たちの無力さを感じます。ですが、過去の経験を生かして備えるほかに道はないのでしょう。「私は大丈夫」。そんな思いが自分にもありました。下宿先に懐中電灯さえ置いておらず、防災意識の欠如を猛省しながら慌てて購入してきました。
朝日新聞デジタルでは「災害INFO」を開設し、北海道地震に関連するリンクや避難生活に役立つ過去の記事を集めています。支援をする際の注意点や、災害弱者への配慮など、多岐にわたる情報が掲載されています。また、6月の大阪地震後は、自治体の防災アプリにも注目が集まっているようです。私も、住んでいる横浜市のアプリをダウンロードしました。周辺の防災拠点を表す地図やハザードマップ、防災情報のリンクが表示され、災害に遭遇した際、どう行動し避難するかを想像することができます。
教訓が生かされていると感じる報道も目にしました。以前あらたにすの投稿「災害時こそデマ注意!噂が嘘に変わるとき」で、デマについて取り上げましたが、今回の地震後はフェイクニュースの対処法やデマを報告する新聞社の記事がSNS上で表示されていました。デマがなくなったわけではありませんが、人々の意識も少しずつ変わりつつあるのでしょう。Yahoo!ニュース「災害デマのパターンは決まっている 止めるために知っておきたいこと」(石戸諭記者)で紹介されていた、「流言は智者にとどまる」という言葉が印象的でした。
先日、東日本大震災の被災地である南三陸や女川に足を運びました。更地が広がる海岸通りを前に、住みなれたふるさと、大切な人との触れあいが、ある日突然消え去り、戻らないことの意味や痛みについて深く考えさせられました。
災害は、容赦なく、襲ってきます。今後予想される首都直下地震や南海トラフ地震に備えることで、解決するわけではありません。いつでも、どこでも、起こりうるのです。だからこそ、国民全体で防災意識を高め、被害を最小限にとどめる努力が必要です。マスメディアには、災害時や節目の時だけでなく、日ごろから命の守り方や被災時の生活に役立つ情報を伝え、多くの人と共有していく役割が求められると感じます。
参考記事 7日付 各紙「北海道地震」関連面
Yahoo!ニュース「災害デマのパターンは決まっている 止めるために知っておきたいこと」(石戸諭記者)