電車の座席もLINEで

筆者は大学まで、電車で通っています。その車中、お年寄りの方が乗ってくることがよくあります。本来ならば「席どうぞ」と譲ればいいんでしょうが、それがなかなか言い出せない。そういうとき筆者は、何も言わずに別の車両に移動する、という手段を取ってしまいます。

シンガーソングライターの高橋優さんの「明日はきっといい日になる」のなかに、こんなフレーズがあります。
勇気振り絞って 席をゆずってみた
「大丈夫です」と 怪訝そうに断られたそのあと
きまり悪そうに 一人分空いたまんまのシート

他人へ話しかけることにハードルがあるのと同時に、断られたらどうしようと無意識のうちに考えてしまっているのかもしれません。

本日の日経新聞には1998年長野パラリンピック、アイススレッジスピードレースで金メダルを獲得し、現在は日本財団パラリンピックサポートセンターに勤務されているマセソン美季さんの、優先席をテーマにしたコラムが掲載されています。マセソンさんは本来優先席に座るべき人が目の前にいるのにもかかわらず、スマートフォンをいじっている若者を何度も目にした経験から、いっそのこと元気な若者が優先席に座っておいて、困った人を見かけた途端、さっと譲る「優先席譲り隊」を結成すべきなのではという斬新なアイデアを述べていました。

また、現代社会において必須ツールとなった「LINE」がそんな悩みを解決してくれるかもしれません。昨年12月、大日本印刷株式会社、東京地下鉄株式会社、LINE株式会社が、一般社団法人PLAYERS と、東京メトロ銀座線の最後尾車両内で、席に座りたい妊婦の方と席をゆずりたい周囲の乗客をつなぐ「&HAND」の実証実験を行いました。ホームページによると「&HAND」とは、手助けを必要とする人は Beaconデバイス と呼ばれる機械を携帯し、必要な状況でONにすると、周囲のサポーター(手助けをしたい人)の LINE にメッセージが届きます。サポーターは手助けを必要とする人の状況が分かり、具体的な行動を起こすことができるという仕組みです。これがあれば、お互いに最初にして最大のハードルである「声」を出さずに席を譲れるのです。

本来ならば、言葉のキャッチボールがあるべきだと思います。ただ、LINEなどが媒などが媒介となって、勇気を振り絞ることなく、結果的にそれが双方にとって良いのであれば、これも一つなのでしょう。

参考記事:
9日付 日本経済新聞朝刊(東京12版)29面(オリパラ)「優先席、さっと譲ろう」