活動対象、目的の社会性といった「社会性・連帯性」、報酬を 目的としない「無償性・無給性」、自発的な意思に基づく「自主性」
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のHPに掲載されている、ボランティアの定義です。
五輪の開催期間は多くの大学では授業や試験期間とかぶっています。文部科学省とスポーツ庁は、全国の大学に対して大会期間中の学事日程を柔軟に変更するように求める通知を出しました。夏休みを前倒しするために授業の開始日を早めたり、祝日に授業を行ったりする道が開けます。また、授業期間の短縮も可能になります。
私はこの通知に疑問を抱いています。
スポーツ庁などは、競技やボランティアに学生が参加することは教育的な観点からも効果があるとしています。オリンピックボランティアの仕事は多岐にわたります。選手の身近でのサポートから、大会運営に関するものまで、アルバイトなどでは経験できない幅広い仕事があります。他国の人々と頻繁に接するため、語学力の向上が期待されます。そして、オリンピックが自国で開催される機会はなかなかありません。まして、その運営にたずさわる体験は非常に貴重なものとなるはずです。
しかし、本来、学業や仕事の副次的な位置づけのものであるはずです。そのボランティアのために学業の都合を調整するのは本末転倒ではないでしょうか。特に、授業期間の短縮は、教育の質や量の減少に直結すると考えられます。「学業は学生の本分」という言葉にもあるように学生は勉強こそ第一とするべきです。
ボランティア活動に参加する時間を考慮して試験勉強を進めるなど自己管理の上で活動に参加する。その「自主性」を刺激するように、大会運営側はボランティアの魅力を発信していく。
これが本来の姿なのではないでしょうか。今回の通知はボランティア活動が「強制」のものになっている気がしてなりません。
参考記事:
30日付日本経済新聞朝刊(大阪12版)30面(社会)「五輪期間 休み柔軟に」
参考資料:
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会HP(https://tokyo2020.org/jp/)
「東京2020大会に向けたボランティア戦略(本文)」