海に優しく自分に優しく

猛暑が続いています。こんなに暑い日は、海に行きたくなりますね。ですが、一見するときれいな海中が目には見えないごみに汚染されているようです。

生態系に大きな悪影響を及ぼしているのは、「マイクロプラスチック」と呼ばれる5ミリ以下の微細なプラスチックです。ペットボトルの破片や衣服の化学繊維、レジ袋などが海へ流れ紫外線や波の力によって小さく砕けたもので、世界の海に漂っています。魚介、海鳥、プランクトンなどが飲み込み、消化管を傷つけたり、化学物質が体内に蓄積したりすれば、それらを食べる私たちにも害が及ぶ可能性があるのです。

山形県の海岸で回収されたサンプル(朝日新聞社)

 

そんな危機を前に、文部科学省が画期的な取り組みを行っています。海水中のマイクロプラスチックをAIで自動計測、分析する新たな装置の開発です。0.1ミリ以下も検出し、1時間あたり最大で100リットルの海水を調べることができます。これまでは、プランクトンをすくい取る網で採集し、顕微鏡などで1個ずつ確認していました。0.3ミリ以下の網に引っかからなかったものを検出できるほか、手間や時間を大幅に減らせるため、海洋調査をより進めることが期待できます。

大量消費を減らす活動も話題になっています。シアトルでは、プラスチック製の使い捨てストローやフォーク、ナイフなどの提供を禁じる条例が施行されました。スターバックスは、2020年までに世界の全店舗でプラスチック製ストローの使用を廃止すると発表しています。マクドナルドも、来年までに英国やアイルランドの全ての店舗で紙製ストローに切り替えるそうです。

個人にできることもたくさんあります。再利用のために分別を徹底する。自然に優しい製品を進んで利用する。使い捨て商品は買わない。

豊かさに慣れてしまった現代人にとって、親しんだモノを手放すのは少々不便なことかもしれません。しかし、海を守ることは、生き物を守ることになり、ひいては私たち自身の健康を守ることにもつながります。今日から、地球に優しい一歩を踏み出してみませんか。

 

参考記事

31日付 朝日新聞夕刊(東京4版)7面「極小の脅威 傷つく海」

同日付 読売新聞夕刊(東京4版)1面「海洋プラごみAI監視」