【特集】座談会企画 第2弾 大人ってなんだろう

――メンバーの中には、18歳選挙権が施行された初めての選挙で18歳、19歳だった人がいます。未成年の政治意識についてどう考えますか。

猪股:2020年には学習指導要領の改定で、選挙など政治参加について広く学ぶ「公共」の授業が始まりますから、その影響力がどの程度になるかですね。

相澤:政治意識って成人することで芽生えるものでしょうか。

吉田:参政権と成人の意味合いは違うと思うので、必ずしも同じにする必要はないと思います。

相澤:お酒は生活に直結していますが、選挙は間接的ですし、政治の恩恵を受けているかどうかはあまり実感がありません。

 

 

――大人ってなんでしょうか。

齊藤:就職するときは社会的に一人前ですね。

吉田:多くの人が考えている大人は、自分でお金を稼げるようになることじゃないですか。

猪股:日本では「この音楽聴いていると大人っぽい」といった、「◯◯だと大人」というのが多いですね。それを公式に決めるのが成人年齢なのか、納得しました。

吉田:大人、おとな、オトナと表記によって受ける印象も違いますね。

・大人=法律っぽい、権利を主張している、かたい印象

・おとな=やわらかい感じ、高級な印象

・オトナ=カッコつけている、いかがわしい  など

齊藤:そういえば、日本では犯罪に関しては青少年に厳しいですよね。

吉田:犯罪を犯した18、19歳の人には「判断できたはずだ、自己責任だ」という意見が多いです。

齊藤:若者には出所後の人生がまだ長いという意味で、更生に関して配慮しているところにも少年法の意義があるのに。

相澤:有名な「少年A」の例がありますが、未成年だったことで名前が伏せられました。それを本人の権利と見るか、責任があると見て実名で公表して刑罰を科すかですね。

吉田:意外と法律はぐちゃぐちゃなのかもしれないですね。少年法では二十歳未満が守られているのに、児童養護施設では18歳になると退所しなければなりません。

 

 

――自分が大人だと思いますか。

齊藤:大人でいいと思います。親からの経済的な支援はありますが、大学進学に合わせて一人で生活するようになり、大人の自覚が芽生えた気がします。

吉田:数字で見れば大人ですね。でも、自分のことを大人だと思ったことはないです。

相澤:高校生まではおこづかい制だったけど、大学生になったらアルバイトで稼げるようになって、もらえなくなりました。でも、稼げる身分でお年玉などお金をもらうのは申し訳なく感じます。今この時期って、経済的にも大人になりつつある段階なのかな。

吉田:社会からは、大人というよりも大学生というカテゴリーで見られていると感じます。社会人って、それまでの学生という枠から外れるから、ギャップが大きいです。

相澤:同い年でも高校卒業と同時に就職した人は、ぼくたちに比べて大人の意識が強いと思いますね。

田端:同じ大学生でも、お小遣いで全てやりくりしている人もいれば、自分で社会人並みに稼いでいる人もいます。社会人になっても、実家で暮らしながら家賃や生活費を親に頼っている人もいますし。例えば、40歳でもニートで働いていない人は大人じゃないのかといえば、そんなこともない。経済的に自立しているかどうかで判断できるものでもない気がします。

吉田:自営業とか農家とか、家族経営だと家計を家族と別にするのは難しそうですね。

齊藤:身体の老いは確実にありますから、生物学上、大人/子供という区分はありますが、役割的なもので分けるのは難しいですね。

吉田:Wikipediaによると、医学的に第二次性徴を迎える15歳から肉体的に成人という区分だということです。定義はそれぞれだけど、ラインは明確にしないとね。

齊藤:近代以降は年齢を持って成人を区分しているということですね。

 

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