高校内申書改革の是非

本日の読売新聞朝刊には、高校生が自身で部活動の成績や資格などの3年間の成績をインターネット上に登録し、大学受験の際に内申書の代わりとして提出することができるシステムが完成したことを報じています。

システムは「ジャパンポートフォリオ」と呼ばれ、すでにサイトが開設されています。2020年度から本格化する「大学入学者選抜改革」の一環として、文部科学省の委託を受けた関西学院大学や筆者の通う早稲田大学など8大学が開発し、運営しています。

そもそも、過去にあらたにすの記事でも紹介された(  誰のため、何のための入試改革?)入試改革とは何なのでしょうか。代表的なものは共通テスト(センター試験)の記述式導入や英語の民間テスト導入が挙げられます。ですが改革の趣旨自体は文部科学省によると、「各大学の選抜において、「学力の三要素」(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」)を多面的・総合的に評価するものへと改善すること」とされています。その中の「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価するために、内申書をネットで登録する仕組みが採られたのです。

この改革によって、高校生や大学側にどのような恩恵があるのでしょうか。記事によると、現在高校の教員が作るものにも生徒会活動や部活動の成績を記入する欄がありますが関西学院大学が今春の受験生を対象に調べたところ「約4割に「生徒会役員」「部活動の部長」」などの重要事項の未記載や誤記があったそうです。ネット登録できるようになるとこのような記入漏れが防げるほか、紙のものよりも多くの内容を詳細に書き込めることができるようになります。

筆者は、大学入試を経験したことがありません。附属高校から内部進学という形で大学に入学しました。学部を選ぶ際には、3年間の成績と卒業論文が考慮されました。教育内容も「高大連携」が意識されているので、受験勉強に時間を費やす代わりに、大学での学習内容を先取りしたような授業も開講されていました。大学入試改革およびその根底にある高大接続システム改革で描かれている未来なのかもしれません。

一方、就職活動をしていると、学力試験の一発本番で採用が決まったらどれだけ楽なのか、と考えることがあります。今後大学受験を控える高校生にとっても、制度改革によって負担が増えるのかもしれません。その負担をしっかりとサポートする体制をとってほしいものです。

参考記事:

6日付 読売新聞朝刊(東京14版)30面(社会)「「内申書」ネット登録」