「戦争が起こる」は杞憂か

1941年12月8日未明、日本は真珠湾への奇襲攻撃を仕掛けました。太平洋戦争がスタートした瞬間です。あれから73年、日本は過ちを繰り返すことなく、きょうを迎えることができました。

先月亡くなられた俳優の菅原文太さんは晩年、戦争の恐ろしさを切々と訴えていました。

「戦争反対のためなら命は惜しくない」

多くの聴衆を前に力強く演説したのは、亡くなる半年前のことでした。安全保障をめぐる昨今の動向に危機を感じ、最後まで行動を起こし続けていました。

14日は総選挙の投開票日です。「アベノミクス」ばかりが注目され、安保法制が争点となっている様子はあまり感じられません。集団的自衛権に関する憲法解釈の変更が閣議決定されたのは今年7月。それに伴う関連法の改正・制定が既定路線となっています。

戦争が再び起こってしまうと訴える論陣に対し、政権は説明を尽くします。あくまで閣議決定は「自衛」に関するものであり、日本が戦争に参加することはない─。たしかにこの主張を聞けば、先の論陣が杞憂のように感じます。しかし、菅原文太さんのように本気で心配する人たちがいるのも事実です。戦争を「目前の危機」と捉えるのは、やはり杞憂なのでしょうか。

 

【参考記事】

8日付 朝日新聞(大阪14版)31面「戦後70年へ 歴史と向き合う 世界は」