どこからがセクハラ?

連日のニュース面を賑わせている「セクハラ問題」。財務省事務次官だった福田淳一氏の女性記者に対する不適切な発言をめぐる疑惑が大きく取り上げられました。事実関係や各関係者の対応の是非はさておき、日本の職場におけるセクハラについて興味深い調査があります。

米国務省が20日に公表した「人権報告書」。約200の国と地域を対象にした2017年のデータです。日本について「職場でセクハラが依然として横行している」と指摘。日本政府の調査を引用し、2016年の働く女性の3割が被害を訴えていると伝えています。

厚生労働省は次のように定義しています。

職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。

どんなものかは誰しも想像できるでしょう。しかし、どこからが「性的な言動」に抵触するのかは、とても曖昧です。とりわけ、体に触れるなど誰が見ても明らかで判断しやすい「行動」と異なり、状況や関係性によってもその意味が大きく変わる「発言」には注意が必要です。

例えば、友人との間では盛り上がる「恋バナ」。それが職場で恋愛事情を聞かれた場合、セクハラにあたる可能性があるようです。友人の中には「女性らしさ」を求められることに不快感を抱く人もいますが、私は何も感じません。その行為がどこで、どのような文脈で、誰からなのか。それらの要素に加えて、受け取る側の価値観や考え方にも判断は委ねられています。

ハラスメントにまつわる言葉は、他にもたくさんあります。「パワーハラスメント(パワハラ)」、「マタニティハラスメント(マタハラ)」、「モラルハラスメント(モラハラ)」、「アルコールハラスメント(アルハラ)」など。調べてみると、さらにさまざまな種類、呼び方があるようです。

全てに共通するのは、「相手に嫌な思いをさせる言動」であること。人によって感じ方が違うため、意図せず傷つけてしまうこともあります。ですが、基本的には相手のことを思いやる気持ちで接することで多くは防げるはずです。被害者側も安易にハラスメントだと決め付けることは避ける必要がありますが。

人間社会において、他者との関わりを考えて行動するのは不可欠です。性的な言動、職場という条件に限らず、日常から全員が意識したい基本ルールですね。

 

参考記事:

22日付 朝日新聞朝刊(東京14版)7面(国際)「米国務省「人権報告書」」

厚生労働省HP 「均等法上の「職場におけるセクシュアルハラスメント」とは