わすれないで、選手のきもち

4月9日、大学での講義を終えて帰宅し、いつもと同じようにパソコンを開くと、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

 

「サッカー日本代表監督、ハリルホジッチ氏解任」

 

今年開催されるロシアワールドカップまで、あと2ヶ月ほど。

一般的に、サッカーの代表監督は最低でも4年間は務め、次のワールドカップを目指してチームの熟成を図ります。しかし、日本の場合だと2014年~18年の4年間の中で、3人も監督が変わるという異例な状態に陥っています。

 

そして、次期監督に就任するのは、これまで技術委員長だった西野朗氏です。

 

西野氏は、1994年に開催したアトランタオリンピックで、サッカーU-23日本代表監督として、本大会の対ブラジル戦に勝利を収めるという大番狂わせ、「マイアミの奇跡」を起こしました。

 

また、2002年にJリーグクラブのガンバ大阪の監督に就き、05年にクラブ初となるリーグ優勝。そして、08年にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝させる快挙を成し遂げています。ACLはアジア各国の上位チームが対戦し、アジアでNO.1のクラブを決めるレベルの高い国際大会です。

 

「本大会までは短いが、実績も十分で任せれば大丈夫だろう」。そう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、1つ忘れていることがあります。

 

それは、「選手の存在」です。

 

実は、筆者も中学生時代に同じような経験をしました。

当時はサッカー部に所属しており、チームの雰囲気や練習内容に満足していました。また、顧問の先生もとても親身な方で、一緒に練習に参加し、悩み事があれば真剣に相談に乗ってくれました。

それが、中学2年生になると、その先生が転勤することになり、新しい顧問がやってきました。

「前よりもっと楽しくなるかな」と期待していましたが、その想いとは真逆の結果となりました。

 

「お前なんかいらん!出て行け!!」

「何やっているんだ!こんなこともできないのか!」

 

練習場は怒号の飛び交う場となり、筆者も含めみんなビクビクしながらプレーしていました。

変わったのは顧問だけではありません。チームの雰囲気や一緒にプレーをしていた仲間たちの性格もがらりと変わり、いつもピリピリしている人が増えたのです。顧問と同じように、周りまで攻撃的になりました。

 

あるチームの指揮者が変わるだけで、チーム全体、それも選手一人ひとりにまで影響を及ぶものです。「ハリルホジッチ氏への批判」「この時期に監督を解任した日本サッカー協会への批判」だけでなく、選手たちの負担や想いにも目を向けましょう。

 

参考記事:

11日付 朝日新聞朝刊 14版18面「西野J 戦術転換を示唆」

同日付 日本経済新聞朝刊 13版37面「西野新監督『覚悟持てた』」

同日付 読売新聞朝刊 13版23面「西野氏 W杯へ『覚悟』」