大学入試の新しい選択肢

日に日に暖かくなり、春の陽気が感じられる季節になりました。筆者は花粉症に苦しめられていますが、これから始まる新生活や新学期に胸踊らせている人も多いでしょう。
大学入試では、私立大学は一段落し、国立大学前期日程の合格発表が始まりました。ここ数年、グローバル化の波や政府の進める教育改革の影響を受け、公立、私立を問わず多くの大学で入試方式の変更や新しい制度の導入が進められています。
その一つである「国際バカロレア(IB)」は、国際的に認められる大学入学資格として以前から注目されてきました。スイスに本部を置く国際バカロレア機構が定める教育プログラムで、討論中心の授業を通して知識を活用する力が養われます。
文部科学省によると、IBを活用した入試制度を設ける大学は54校あります。日本でもその認知度が高まっているものの、受験者数はまだまだ少ないのが現状です。資格を持つ生徒がわずかであることが原因として挙げられており、2018年1月現在、国内でIBを与えられる認定校は118校にとどまっています。
そこで急務なのが、IBの求める教育内容を教えられる教員の養成です。IB教員の資格取得には、国際バカロレア機構が開くワークショップに参加するか、同機構が認定する大学の学部や大学院で所定の単位を取ることが必要になります。「IB研究コース」を設置する玉川大、「教育学修士プログラム」を開設した筑波大、国際教育学科を設立した都留文科大など、専門教員の養成を目的としたコースを設ける大学が増えてきています。
IB資格で受験し入学した友人がいますが、彼女は高校時代の2年間海外へ留学しIBを取得しました。当時は単なる留学だと思っていましたが、後になって資格の存在を知るとともにそれが学びのうえでも、大学受験のうえでも強みになることがわかりました。
これまでにはなかった、IB資格もしくはIBの教員資格の習得といった選択肢が、今後ますます広がっていくことが想像できます。2020年のセンター試験廃止と併せて、これからの入試や教育現場の変化に注目です。

参考:
7日付 日本経済新聞朝刊(東京)33面(大学)「国際バカロレア指導教員養成」