お酒は好きですか。世間ではビールを飲む若者が減っていると言われていますが、私は「とりあえずビール」派です。とりわけ喉が渇いたときや暑い日にはその独特の風味がたまりません。今回は、そんなビール好きにも、苦手な人にも朗報です。
4月に施行される酒税法改正を前に、大手各社がこぞって個性派ビールの商品開発を打ち出しています。これまでのビールは、麦芽の使用比率が67%以上と定められ、使える副原料にも制限がありました。「定義」の見直しで、麦芽比率は50%以上に、香り・味付け用の香辛料や果実などの使用も認められます。これまで発泡酒扱いだった、作ったビールに副原料を加えて再び発酵させる製品が、春から晴れてビールの仲間入りを果たすのです。分類が変わっただけで私たちにとってはあまり関わりのないことのように思えますが、ビール各社はこれを好機と捉え本気で取り組む構えを見せています。競争が激しくなれば、それだけ楽しめる商品が増えるはず。ビール党にとって、市場の盛り上がりは嬉しい限りですね。
最大手のアサヒビールは、料理などで人気のレモングラスを使った「グランマイルド」を売り出す予定です。クラフトビール最大手ヤッホーブルーイングの「水曜日のネコ」は、コリアンダーシードやオレンジピールが使用されていたために発泡酒扱いでしたが、春以降は同じ中身でビールとして販売されます。フルーティーなテイストなら、ビールが苦手な人でも飲みやすいかもしれません。
人口減少や若者のビール離れ、昨年の酒類安売り規制などで国内のビール消費は下降線をたどっています。昨年、好調だったサッポロビールを除く3社の販売量は、前年と比べて3~6%減りました。追い打ちをかけるように、3月から始まる業務用ビール飲料の値上げが各社の危機感を募らせる要因となっていました。それだけに、定義変更が追い風となるのではないかと期待の声が上がっています。
先日、同窓会で旧友たちと再会し、一緒にお酒を飲みました。思い出話に花を咲かせながら、盃を交わすなんて想像もできなかった頃を振り返り、成人したことを改めて実感したものです。改定されるのは、桜の咲き乱れるお花見の季節ですね。もちろん「お酒は二十歳になってから」。楽しく、そしてほどほどに飲みましょうね。
参考:
12日付 朝日新聞朝刊(東京13版)8面(経済)「味・香り 個性派ビールの春」
同日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)2面(総合1)「個性はビールで勝負」