どこかで見た既視感 国民への約束を忘れる厚顔無恥さ

希望の党は1日、外交・安全保障調査会の初会合を開き、安倍内閣の下で整備された安全保障関連法の見直し議論に着手しました。執行部は、集団的自衛権の行使が容認されるための要件を現行法より厳しくすることで、与党より穏健な保守政党をアピールしたい考えです。

もともと、10月の衆院選前に東京都の小池百合子都知事が旗振り役を務めて発足した希望の党。安全保障関連法の容認や積極的な憲法改正議論の「踏み絵」をさせるなど、「排除」発言は議論を呼んだものの旧民主党のようなバラバラした政党が政治思想をもとに整理されるきっかけになりました。

しかし、現在の希望の党を見ると当時の「寛容な保守政党」の印象は色褪せてしまいました。希望の党の結党メンバーである細野豪志元環境大臣は、北朝鮮情勢が切迫する中、法改正をすることで集団的自衛権の行使に向けたハードルを今あげるべきではないとの立場です。いわば、先の衆院選で国民に示した公約に沿った、「模範解答」のような意見です。

一方、玉木代表とともに代表選を争った大串博志衆院議員などは、安保法制で認められた集団的自衛権の限定的な行使そのものが違憲と主張し、執行部の方針と矛盾しています。

安保法制への賛否はともかく、希望の党の国会議員は安保法制の容認を掲げて当選したはずです。それにもかかわらず選挙が終われば手のひらを返すように主張を180度変えるのは国民の理解を得られるわけがありません。衆議院民進党が希望・立憲民主・無所属にせっかくきれいに分かれたのに、このままでは結局無駄になってしまいます。

旧民主党のような保守とリベラルの対立に終始するゴタゴタ感をなくすためには、希望の党の安保法制反対派には、賛成派への「改宗」か潔く希望の党を去るか。どちらにしても険しい道に違いありません。

健全な野党の誕生は、まだまだ先のようです。

参考記事:

2日付 読売新聞14版4面(政治) 「希望 安保法見直し初会合」