バイオマス発電所で見たものは

突然ですが、これ何だと思いますか?

 

バイオマス発電の燃料となる木質チップなんです。ここは長野県飯田市にある「かぶちゃん村 森の発電所」。地元の木材を利用した、小型木質バイオマス発電所です。年間発電量は約285kWで、これは約792世帯分の電力に相当します。チップは1トン約1万円で仕入れ、年に3,630tのチップを使用しているといいます。リニア中央新幹線の工事現場を見学しに先週同県の大鹿村を訪れた際、こちらにも立ち寄って、発電棟の中などを見せてもらいました。

温室効果ガスを増やさず、資源の有効活用にもなるバイオマス発電は、環境にやさしい自然エネルギーとして今後の成長が期待されています。ただ、木質バイオマスでネックとなるのは含まれる水分量が多いことです。乾燥前のチップを触らせてもらいましたが、しっとりと湿っていました。蒸発にエネルギーが食われる分だけ発電効率は悪くなります。森の発電所でもチップを乾燥させ、加熱することでバイオマスをガス化させていますが、発電効率は約25%にとどまります。

チップよりも大きな発熱量が得られるのが木質ペレットです。これは間伐材や端材、樹皮などから作られ、含水量を減らして小さな円筒状に圧縮加工したものです。まだあまり知られていないため価格が高いといいます。木質が主流だと思っていましたが、今日の記事によると、日立製作所が竹もペレット状に加工できる技術を開発しました。放置され生い茂った竹林の活用法として期待されているそうです。

筆者は最近林業に関心を持っており、市場の評価が低い木材、業界用語で言う「C材」の使い道として、木質バイオマス発電にどれだけの可能性があるのか気になっていました。衰退傾向にある林業ですが、低コストで就労機会が広げられる「自伐型林業」の登場によって、ふたたび地域雇用の担い手になるのではないかと期待されています。

今回見学した小規模発電所でも整備には5億円ほどかかったといい、全国の里山に増やしていくのは簡単ではありません。ただ、木材の販路として機能しているということを実感できました。森林の可能性を知るために、林業ボランティアに挑戦するなど自ら山と関わっていきたいものです。

参考記事 :12日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)30面(サイエンス)「使いにくい竹、粉砕し燃料に」