アンネの日記 平和と自由を願う強い言葉

 「私が私として生きることを許してほしい。」

 16歳で亡くなったアンネ・フランクの言葉です。

 14、5歳と言えば、現在の日本でいうと中学2,3年生に当たります。部活動や勉強に忙しい一方で、休日は友達と遊びに出かけ、体育祭や文化祭に熱中するなど、まさに「青春」を謳歌する時期です。私自身も中学生の頃の友人たちとの楽しい思い出が鮮やかに思い出されます。彼女はまさにこの時期を狭い隠れ家で過ごしました。どれほど外の世界で自由に生きていきたかったことでしょうか。

 元FBI捜査官らが、アンネ・フランク一家がナチスドイツに逮捕されたのは、密告によるものだったのか、もしそうであるなら誰が密告したのか、真相を究明することを発表しました。最新のデータ解析技術も用い、2019年8月に結果を公表する予定です。

 当時、ナチスドイツに捕まらないようユダヤ人たちに協力する人々がいる一方で、自分が罰せられるという恐怖から密告する者も少なくなかったと聞きます。

 真相を究明した後のことを考えてしまいます。逮捕される原因を作った「人」を責めるのではなく、アンネ達が隠れ家生活を送らざるを得なくなり、一般の人々をもユダヤ人を匿う者と迫害する者に分けてしまった「環境」こそを責めるべきです。そして、その「環境」を作ってしまった原因を把握し、二度と過ちを起こさないようにすることが平和と自由を願ったアンネの遺志に報いることだと思います。

 日記には次のような言葉もつづられています。

 「世界をよくすることを始めるのに誰も一瞬ですら待つ必要なんてないんです」

 第二のアンネ・フランクが生まれないために私たちができることを探り続けていきたいと強く思います。

参考記事:

26日付 読売新聞朝刊(大阪14版)9面(国際)「アンネの密告者を探せ」