「国民審査」から憲法を考える

今日、郵便ポストに選挙管理委員会から封筒が届きました。中身は選挙のお知らせですが、そこで最高裁判所の裁判官を罷免するかどうかを審査する「国民審査」があることを思い出しました。

報道は連日、衆議院選挙の情勢について報じるため、あまり注目されることがありません。あらたにすでも、過去に一度も取り上げたことはありませんでした。実際に過去172人の裁判官が審査を受けましたが、辞めさせられた裁判官はいません。

しかし、この国の未来を占う重要な投票であることを忘れてはいけません。本日の朝日新聞は、今回の審査対象の裁判官7名を写真付きで記載しています。その中には、あらたにすでも取り上げた判決の担当だった方もいます。

例えば、大谷直人氏は夫婦別姓合憲判決・再婚禁止期間違憲判決の担当をしました。再婚禁止については100日越えの「違憲」については賛同し、100日以内でも懐胎可能性がない場合は適用除外を認めるべきとする共同補足意見を出しています。一方で、夫婦別姓合憲判決では、「国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべき」と立法に判断をゆだねています。

大学で法学を学んでいる筆者は最高裁判決に触れる機会は多いですが、普段から裁判の判決を気にするような人はごく少数でしょう。しかし、今回は与党と野党第一党が「憲法改正」を政策に挙げています。せっかくの機会ですので、最高裁判所裁判官が憲法違反かどうかを判断する「法の番人」としてふさわしいかどうか、という視点から憲法を見つめなおすべきです。

参考記事:
12日付 朝日新聞(東京13版)16面(特集)「「憲法の番人」チェック」