自分の足で生きていく強さを

女の子って弱いね。だけどときどき強いね。

2人組のソングユニットPUFFYによる『SWEET DROPS』の一節。かわいらしい歌詞とポップな曲調で、幼稚園の運動会などでも使われたこの曲を知っている方は多いのではないでしょうか。
軽い雰囲気とは裏腹に、「大人だってぎゅっと抱かれたい、砂漠で迷っているような毎日は辛い」と大人ならではの屈折した感情を描きながら、涙は弱いんじゃない、愛のSWEET DROPSと、辛さや弱さを愛情や優しさととらえて前向きに生きる姿を見せています。
PUFFYの曲は、自分の弱さを認めながら生きていく強さを、女性の視点から描いたものが多いように感じています。

今朝の朝日新聞にも、一人強く生きていく女性へのメッセージが掲載されていました。

漫画家・西原恵理子さん(52)。漫画『毎日かあさん』でおなじみの女性作家ですが、今年6月にエッセイを出版。『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』では、子育てをする母親や、仕事、結婚を将来に控えた女性たちに向けて「自分の人生を人任せにしないこと」を強く強調した内容になっています。

エッセイが紹介された7月のインタビューには、たくさんの反響が寄せられました。今朝の紙面の記事は、さまざまな読者の声をまとめた特集です。大阪市の高校で養護教諭をしている濱中栄理子さん(38)は、「王子様を待たないで」などと書かれた冒頭部分に共感し、西原さんのエッセイを保健室に置いていると言います。

「『女性活躍』とか言っているけど、女性を取り巻く環境は良くなっていない。一人で頑張りすぎないで」と生徒に教える濱中さん。「自分の人生を人任せにしない」という言葉とは一見矛盾するようですが、女性が自分の力で生きていくために必要な「逃げる、やめること」の大切さを言っているのです。

辛い状況に置かれても耐え抜くことが強さであり、必ず誰かが助けてくれる。いじめやブッラク企業に放り込まれた人々に対して、こんなことを言うひとがいます。

確かに、そんなこともあるかもしれません。けれども、誰でも辛さに耐え抜く強さを持ち合わせているわけではないし、助けてくれる人が回りにいない八方ふさがりの状況だってあります。むしろ、人間関係が希薄といわれる現代において、誰かが必ず手を差し伸べてくれることのほうが少ないのではないでしょうか。

そういうときに必要になるのが、「もうやめた」と言える強さと潔さ。無理をしないということが、どれだけ自分の命を救い、人生を気楽にするか。西原さんがエッセイで伝えたかった「自分の人生を人任せにしない」というのは、「やめるという選択をできる強さを持ちなさい」という意味もあるように思います。

いじめや過労死、子育て問題にうつ病…。記事では女性へ向けたメッセージとして描かれていますが、辛いだけだと思う場所からは逃げたっていいのです。それは女性に限りません。

耐えること、立ち向かうことばかりが強さでもないし、強いことが正しいことでもないのです。

参考記事:
11日付 朝日新聞朝刊(大阪10版) 29面(生活)「娘よ、自由に強く生きて」