「適材適所」以外ありえない

 「大将、人を能く目利して、其奉公人得物を見知て、諸役をおおせつけらるる事。」戦国武将の武田信玄が、家臣団を統率するために定めた原則の一つです。信玄は、家臣を適材適所に配置することで、組織をまとめ、能力を最大限発揮させていたのです。

 今月3日、内閣改造、自民党役員人事が行われます。内閣の「骨格」となる菅官房長官や麻生副総理の留任は決まっている一方で、衆議院で当選5回、参議院で当選3回以上の入閣待機組や派閥への考慮を党内からは求められています。本日の読売新聞は、岸田氏が、「引き続き政権を支える」と応じた代わりに、自らの派閥内の議員数人を首相に売り込んだことを報じています。

 昨年発足した第三次安倍再改造内閣は、問題発言などで大臣の素質を疑われる場面が何度もありました。ここでは参考として、民進党が国会に提出した問責決議案を見てみます。

 「五月三十日の法務委員会での法案審議において、金田大臣が答弁しようと挙手した際、安倍総理があわてて金田大臣の肩を押さえて、答弁させなかった。また盛山副大臣も金田大臣が挙手した腕を強引に下し、政府参考人が答弁するよう仕向けた。これらは、安倍総理や、部下である副大臣が、金田大臣では答弁できない、金田大臣には答弁させられないと思っていたからであり、すなわち、法案の内容について理解できていないことの証左に他ならない。」(2017年6月13日参院提出)

「加えて、山本幸三君は、地方創生担当大臣として、文化財観光の振興をめぐり「一番のがんは学芸員、一掃しないと」などと発言していた。学芸員という職業に対して間違った認識のうえでの中傷であり、またがん患者やその家族への配慮を欠くものである。」(2017年6月13日参院提出)

そのほか、稲田前防衛大臣や今村前復興大臣の失言など、相次ぐ不祥事で内閣支持率は急落しています。与えられた職務が何かを理解したうえで、しっかりと遂行していたら考えられない発言だったと思います。

 過去にあらたにすでも触れましたが(政治家の条件)、どの大臣も責任を持って、自らが持つ能力を発揮することが責務です。決して「経験づくり」、いや「思い出づくり」のためのポストなどありません。そのことを念頭に置いた人選をしたか、選任された者はしっかりと責任を持って動いているかを、国民はしっかりと見極めなければいけません。

参考記事:

1日付 朝日新聞(東京13版)3面(総合)「資質問われる発言 連発」
同日付 日本経済新聞(東京13版)3面(政治)「入閣待機組処遇 悩む各派」

同日付 読売新聞(東京14版)3面(総合)「派閥配慮 首相ジレンマ」