SDGs知っていますか?

 「みなさん、SDGsを知っていますか?」。気候変動を勉強する大学の授業の一こまです。外務省参与としても働いている先生が、学生に質問しました。残念ながら数人しか手が挙がりません。そこで先生が説明に使ったのはタレントのピコ太郎さんが登場するPR動画でした。外務省が「持続可能な開発目標」(SDGs)をもっと知ってもらえるように作成したものです。

 SDGsは、2030年までに達成しようとする世界共通の目標です。15年9月の国連総会で定められ、加盟193カ国が参加しています。 日本政府は昨年末に実施指針をまとめています。ですが、あまり知られていないことが課題でした。動画では、おなじみのPPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)音楽に合わせ、貧困や不平等、気候変動の対策など17分野で目標を掲げていることなどわかります。「いまさら、ピコ太郎?」という顔の学生もいましたが、親しみやすかったのでよい取り組みではないでしょうか。

 より学習を深められるカードゲームが朝日新聞の記事で紹介されていました。ゲーム名は「2030SDGs」。一般社団法人イマココラボが作ったものです。「大規模農場の開発」や「砂漠化への対処」といった経済や環境、社会分野のプロジェクトを「お金」と「時間」のカードを使って進めていきます。制限時間内に、お金をたくさん集めたり、環境活動に数多く取り組むなど、与えられた目標の達成を目指します。ゲームだけの販売はしていませんが、企業や自治体の研修、学校の授業、セミナーなどで体験できます。私たち学生も、「知っただけで上出来」では、あまりにも情けない。ぜひやってみたいものです。

 世界共通の目標と聞くと、規模が大きすぎる、実感がわかないといった印象がありかもしれません。でも、一つ一つみていくと、私たちの生活に密接に関わっています。例えば、「目標12 つくる責任つかう責任」。産業界や企業、消費者に廃棄物の削減や再利用を促しています。私たちも食品廃棄量を減すなど身近な範囲から行動できます。一人ひとりの暮らしが政治や経済、環境にどのように関わっているのか。社会を考える一つの物差しにしてもいいのかもしれません。

参考記事:
11日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)4面「「SDGs」知って 外務省、PR動画にピコ太郎さん 」
4日付 朝日新聞夕刊(東京4版)9面 「カードゲームで学ぶSDGs 企業や自治体、研修で実施」