日本の性教育は十分か

 私が今までに受けた性教育の記憶は、小学校高学年の頃に1回、高校生の頃に1回の2回だけです。その2回ともクラスに「恥ずかしい」という雰囲気があり、茶化すような態度で聞いていた同級生がいたことが印象に残っています。

 日本の性教育は先進国の中で最低水準であるといわれています。時間的にも内容的にも不十分で、LGBTなど性の多様性に触れることもほとんどありません。性について詳しく教えることに抵抗のある親や教師が少なくないことが原因の一つとして挙げられます。

 その結果、情報源がネット上の知識や動画の性行為に偏り、それを鵜呑みにして性行為に及ぶ若者も少なくありません。

 他国の性教育はどのようになっているのでしょうか。

 オランダでは、情報がテレビやネットから簡単に入るため、5歳から性教育をはじめる学校もあるそうです。そのため、思春期に入る前から性は食事や睡眠と同じ、ごく自然なものだという認識を持つことができます。ティーン世代になると、避妊の方法など具体的なことを詳しく学んでいきます。家族団らんの場でも、自然と性に関する話題になることさえあるようです。

 他国と比べて、日本の性教育は形式的すぎると思います。教科書を読み上げる形で知識を与えるのみで、具体的なことは何も教えていません。この教育方法の積み重ねが、親や教師といった教える側の大人たちの「ためらい」の雰囲気を作っているのではないでしょうか。これから、教える立場になっていく私たちも自分自身の今までの性への向き合い方を見つめなおす必要があると思います。

参考記事:
21日付 読売新聞朝刊(大阪13版)14面(くらし)「どうすれば安全で幸せ」