勝ち続ける最年少棋士

 小学生の頃よく将棋で遊んでいた筆者ですが、どうしても勝てない相手がいました。3歳年上の姉です。何度挑んでも負け続け、悔しさが募りに募ったある日、とうとう図書館で入門本を借りてきました。それを読んで初めて、将棋にも攻め方や王の囲い方など決まった戦法があると知りました。少し卑怯ですが、姉の了承も得て本を見ながら「穴熊」という堅牢な囲い方を試したところ、初めて勝つことができました。

 勝負の世界は厳しいものです。まして、さまざまな棋風の棋士たちがしのぎを削るプロの世界で勝ち続けることは、並大抵のことではありません。

 17日に行われた朝日杯将棋オープン戦一次予選で、最年少棋士の藤井聡太四段(14)が勝利し、自身の持つ公式戦連勝記録を「27」に伸ばしました。これは昨年12月のデビュー戦からの記録です。これで神谷広志八段(56)の持つ歴代1位の連勝記録「28」まであと1勝に迫りました。未踏の29連勝を期待する声もあり、注目が集まっています。

 朝日新聞記者によるインタビューで、藤井四段は将棋の魅力について次のように語っています。

たくさんの候補手があるが、その中で最善手は一つしかない。それを探すのが面白いし、多彩な駒の特性を生かして進めるのも醍醐味の一つ。

 話題の天才棋士の勝負を一目見ようと、15日に行われた第76期順位戦C級2組1回戦での瀬川晶司五段との対局を、インターネットテレビ「AbemaTV」で視聴しました。順位戦とは名人戦への挑戦者を決めるリーグ戦です。A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5つに分かれてリーグ戦を行い、その成績に応じて次期の所属クラスと序列が決まります。最高峰のA級で優勝した棋士が名人戦の挑戦者となります。

 最後まで通して視聴できたわけではないのですが、一進一退の攻防が続き、藤井四段が追い詰められる場面もありました。前のめりになって盤面を見つめ、考え込む姿が見られました。しかしその後は冷静な戦いぶりで、見事勝利をつかみました。

 14歳ながら、藤井四段の落ち着きぶりには目を見張るものがあります。「自然体」がもたらす安定感が彼の強みであり、勝負のカギを握ると思います。最多タイ記録が懸かった21日の対局が楽しみです。

 

参考記事:
18日付 朝日新聞朝刊(東京14版)34面「藤井四段27連勝 最多へあと1勝」
同日付 読売新聞朝刊(東京13版)32面「藤井四段27連勝」