続・地域の目 安全?

続・地域の目、安全?

 以前も取り上げた、千葉県松戸市で小学校3年生の女の子、レエ・ティ・ニャット・リンさんが殺害された事件について、新しい事実が次々とわかってきました。容疑者である同じ小学校の元保護者会長のキャンピングカーから被害女児の血液が採取されたほか、車内から発見されたネクタイから女児のDNAが検出されたことから、千葉地検は26日、起訴に踏み切りました。容疑者はいまだ、調べに対して黙秘を続けていると報じられています。

 見守る側の人間であった容疑者が本当の犯人であるならば、地域の子供たちを一体どうやって守ればよいのか。想定外の事件に保護者は混乱するばかりです。

 子供を一人にさせない、地域を循環するバスを通学に活用するといった方法が挙げられるが、それでも万全の対策はないという記事に筆者も賛同します。その地域に合った、信頼に基づく連携をいかにとるか。子供たちに人を疑うことを教えるより、お互いに信頼しあい助けあう姿勢が一番安全で安心です。

 また、朝日新聞朝刊の社説は、「人」より「場所」に着目した対策を、という方向性も示しています。

 子供たちの登下校中には、どうしても保護者のような現役世代は不在になります。その間に子供たちを見守るのは地域のお年寄り。「場所」に着目した対策として、そのお年寄りが出歩きたくなるような町作りを挙げています。公園に健康遊具を置いたり、空き地や空き店舗を憩いの場として活用したりして、地域を見守る目を増やす。つまり、安全作りを町作りの面から見直すのです。

 地域の子供たちを守るには、まず子供たちの一人一人に気を配ることから。
 子供たち一人一人に気を配ることができる町を作るには、一つ一つの地道な努力から。

 「ただの女の子とはしたくない。リンちゃんのことを犯人に忘れさせたくない」。
 かけがえのない一人の娘リンさんを匿名にせず、実名で報じるように求めたご両親の言葉が胸に刺さります。

参考記事:
27日付 朝日新聞朝刊 14版 34面(社会)「ネクタイに女児DNA 千葉・殺害 元保護者会長を起訴」
同日付   朝日新聞朝刊 10版 12面(オピニオン)「見守る目の多いまちを」