賛成、反対?どっちつかずの私

 犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は23日、衆議院を賛成で可決し、参議院に送られました。私は賛成か反対なのか、立場をはっきりすることができないままでいます。

 アメリカの人気歌手のイギリスでのコンサートで、終演直後に自爆テロがあったことを朝のニュース番組の速報で知りました。テロはどこでも起こる可能性がある。そのことを改めて自覚させられます。2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあります。日本でもテロ対策の議論が優先事項となってくるでしょう。法案が「テロ防止」のため、国際組織犯罪防止条約批准のためと説明されると理解できます。
 
 一方で、「一般人」にも捜査が及ぶ懸念があります。何が犯罪の計画段階なのか。見極めが難しいような気がします。国会前でノートとペンを持って歩いていると警察官に「目的はなんですか?」と尋ねられたことがあります。永田町で行われるデモ活動や署名活動の取材をしていたときのことです。取材といっても、どこかで記事を出すわけではありません。ただ興味があるからメモをしているだけです。たしかに私の行動が怪しいと思われても仕方がなかったかもしれません。「大学の研究」と答えると納得してくれましたが、終始じろじろ見られとても不快でした。警察官にとって私は組織的犯罪集団に属さない「一般人」に分類されるでしょうか。監視が強まることへの不安感もわかります。

 国会でも議論がわかれるなか、今朝の朝日新聞の社会面では、こんな学生の声が紹介されていました。

”『監視社会』『言論の自由』と決まり文句では、生活にどう影響するか現実感がない。
 法案が「テロ防止」のためと説明されると腑に落ちるようにも感じ、賛否を言い切れない。今回は冷静に見ていこうと思っている。”

 参院の審議では、政府や与党に法案のあいまい部分への丁寧な説明を期待しています。成立した後を想像してみる。その逆も同様で成立しなかった場合を考えてみる。国会でも思考を巡らしてほしいものです。私もこの学生のように落ついて議論の様子をうかがっていますから。 

参考記事:
24日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「「共謀罪」衆院通過」
関連記事3、4、31面
同日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「「共謀罪」法案が衆院通過」
関連記事3、4、34面
同日付 読売新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「テロ準備罪衆院通過」
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