共謀罪 一般市民を守るには

人間の心理状態や性格的傾向を計測し数値化できるようになった未来社会。犯罪に関する数値も「犯罪係数」として計測され、犯罪者はその数値によって裁かれ、「犯罪予備軍」と判断された人々は社会から隔離される。

これは「PSYCHO-PASS サイコパス」というアニメの世界です。このアニメの中では、罪を犯していない人々が「犯罪の危険がある」と判断されて、不当な扱いを受ける場面があります。共謀罪をめぐる報道を目にし、このシーンを思い出しました。

犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案が19日、衆院法務委員会で実質審議入りしました。政府・与党は「テロ対策」としての必要性、そして国際社会との捜査協力が可能となる国際組織犯罪防止条約の締結にはこの法案は不可欠であることを訴えていますが、野党4党は「公権力による監視強化につながる」と廃案を求めています。

私はこの法案は必要であると思います。テロが未然に防げれば罪のない一般人の命が失われることもなくなるからです。また、3年後の東京五輪、パラリンピックの際には大勢の外国人観光客が日本を訪れることが予想されるため、今まで以上にテロ対策を強化することが必要です。

しかし、この法案の適用範囲があいまいになってしまうと「権力の乱用」が起き、冒頭のアニメの世界のような事態を招く懸念もあります。私たちは、法案が成立するまでの過程を監視していくことが必要不可欠です。そのためにも報道が果たすべき役割は非常に大きいといえるでしょう。

参考記事:

20日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「共謀罪 実質審議」