漫画の世界が起こってしまうかも

 日本PTA全国協議会が実施する、毎年見せたくない番組。その中に常に入っているアニメといえば「クレヨンしんちゃん」です。小学校のころしんちゃんの漫画を読んでいると、ある場面に、漫画家がネタで考えた「空港で事件を起こす」といった内容のメモ書きを置き忘れたところ、警察に疑われてしまうというジョークがありました。

 本日の朝刊。テロ準備罪法案が国会に提出されたことが報じられています。特に朝日新聞では関連ニュースを含めて大きく取り扱っています。「おことわり」として政府の呼称ではなく、これまでと同様に共謀罪ということを宣言するほどの強い論調で取り扱っていて、社としての熱を感じます。

 テロ対策という国の安全保障の重要な一つである以上、テロや重大犯罪を見逃してしまう可能性がある現状を軽視することは許されません。他方、国民の基本的人権を制約することも、よっぽどのことがない限りあってはならないことです。この比較考慮をすることはなかなか容易なことではなく、じっくりと時間をかけて議論をしなくてはなりません。その際には、国民の権利が関わる以上、国民の声もしっかりと取り入れることは当然のことであるはずです。

 それにもかかわらず、菅官房長官は「一日も早い法案の成立を目指す」と強調しています。実際に、与党は東京都議会選やほかの法案との兼ね合いから、2か月間という短期間での成立を図っています。以前あらたにすで重要な議題なのにもかかわらず審議の時間が短いといったことを指摘しました(理解ありきの制度であることを忘れないで)。今回も私たちも置き去りになるのではないかという不安があります。

 この犯罪は、歯止めが効かなくなってしまい、濫用されてしまうことも考えられます。クレヨンしんちゃんというギャグ漫画の世界の話が、本当に起こらないように議論に注目していく必要があります。

参考記事:
22日付 各紙朝刊 共謀罪関連記事