19の尊い命が奪われた障がい福祉施設「津久井やまゆり園」事件から、26日で半年がたちました。紙面には、負傷された被害者家族の戻らない日常が映し出されています。一方で事件の背景にある偏見や人々の意識を変えようと奔走する人々の活動も伝えられています。亡くなった方の生きた証を残そうと関係者に聞き取りを行う元職員や、重い障害を持つ人たちとじっくり接してきた記者の言葉一つひとつに重みを感じました。
筆者は今、パラスポーツ選手や選手発掘イベントを取材する活動に参加しています。「今まで障がい者という枠の中で、日の当たらない狭い環境で生活してきた」。あるインタビューの中でその言葉を聞いたとき、心にずしりと響きました。このような思いをつくりだしてしまったのは社会であり、私たち自身の責任であるのだと痛感しました。
今朝の投書欄には実際に障がい者と交流したときに、向き合い方に悩んでしまったという高校生の声が紹介されています。筆者もこれまで障がいを持つ方と接する機会が少なかったため、活動を始めた当初は正直戸惑ってしまったこともありました。今も、ふさわしい対応ができているのかはわかりません。それでも取材を続けるうちに、心通わすことができていると思います。
ベストな対応はできないかもしれない。でも、まずは向き合うことが大切だと思った。
投書にあった力強い言葉 に心動かされました。
偏見や差別は知らないからこそ起こってしまうのです。理解すること、向き合うことをおろそかにしたことが、人々の心に壁を作り、今の社会の風潮を生み出してしまったのだと思います。支援団体代表の磯部浩志さんは「社会を変えることが事件に屈しないことだと考えている」と話します。例えば地域での交流を増やしてつながりを作ったり、道で松葉杖をついている人を見かけたら声をかけてサポートしたり。そういった交流や些細な配慮の積み重ねが、少しずつ社会を変え、共生社会の実現につながっていくのではないでしょうか。
27日付 各紙「相模原施設殺傷事件半年」関連面
27日付 朝日新聞朝刊 12版 14面 声「障がい者との向き合い方に悩む」