改革と実直 NHKの「引き継ぎ」

 NHKトップへの世間の目は厳しく、手をつけられていない経営課題は山積み。今日は、そんな難しい環境の中で行われた、公共放送の新会長就任会見について扱います。

 NHKが転換点を迎えました。25日、NHKの新会長に元経営委員の上田良一氏が就任しました。フランス留学で経営学修士(MBA)を取得、三菱商事の副社長を経てNHK経営委員に就いた、経営に明るい人物です。

 記事が特に注目していたのは、新会長の「政権との距離」です。籾井勝人前会長の時代は、政権寄りの言動が問題視されてきました。昨年10月には、有識者らが「再任阻止」を求めて結集するなど、異例の事態が続いていました。実直な経営を期待されての、上田氏の選出です。

 そんな上田新会長が経営課題として挙げたのが、番組のネット配信です。現在NHKは、ネット上での同時配信が認められていません。見逃し配信やオンデマンド配信は有料です。一方、日本と似た公共放送を持つイギリスとドイツでは、全番組がネットで同時配信され、オンデマンド配信も無料で行われています。

 ネット上で観られればとても便利なのですが、NHKにとってはそう簡単ではありません。今までは、テレビの設置されている世帯に受信契約を結ぶ義務がありました。パソコンやスマホで観る人が増えれば、受信料を払う人が減るのではないかという懸念があります。さらに、総務省と調整して新しい料金体系を作らなくてはならないなど、障害は少なくありません。

 NHKへの信頼が揺らいだここ数年でした。運営体制にかつてないほど厳しい目が向けられる中、新会長は、ネット配信体制の拡充という大改革に取り組まなくてはなりません。難しいかじ取りが求められます。

参考記事:
1月27日付 朝日新聞朝刊13版 3面『上田NHK 始動』
11月12日付 朝日新聞朝刊13版 5面『番組同時配信、先進国は?』
11月8日付 朝日新聞朝刊13版 7面『籾井会長、続投へ布石?NHK受信料値下げ、強い意欲』