働き方改革は始まったばかり

 政府は働き方改革の一環として、労働基準法を改正し、年間で残業時間を月60時間にする上限規制の原案をまとめました。企業の繁忙期には月100時間までの残業を認める一方で、年間では60時間に抑えるよう企業に義務付けます。さらに、これまで残業規制の対象になかった業種についても今回の改正案では認めていく方針です。

 今の残業時間および残業代について規定している労働基準法。その中の36条、いわゆる36規定によって、過半数の組合又は労働者との書面締結がなされた場合は、時間外労働が認められています。ですがこの36協定。実は1947年に労働基準法を制定する際に、1日8時間、週40時間の原則を作ったものの、戦前の1日12時間労働との格差を考慮して導入された制度です。戦後から70年以上経った今では、この趣旨はもはや成立しないのではないでしょうか。

 これからの働き方改革を進めていくうえで、ワークライフバランス(仕事と労働の調和)を考えることが大切です。そのためには、単に労働時間を制限するだけではなく、多様な働き方を認めていく必要があるのではないでしょうか。EUでは、労働時間に規制があるどころか、労働者の半分以上が一定の定められた時間帯の中で、始業及び終業の時刻を決定することができるフレックスタイム制を導入しています。

 筆者も数年後には労働者になります。過労によって起きた悲惨な事故が報道されるたびに労働への恐怖が出てきますが、改革が進んで今より働きやすい環境になっていることを期待したいです。

参考記事:
28日付 読売新聞朝刊(東京14版)4面(政治)「残業上限 法整備急ぐ」
28日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)(総合)「残業上限 60時間」

参考文献:
独立行政法人労働政策研究・研修機構. “労働時間政策とワーク・ライフ・バランス”
http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2005_5/eu_01.html,
内閣府. “仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章”
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html
濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』(日経文庫、2011年)