成人の日、直面する情報化の未来

今日は成人の日です。新成人のみなさん、おめでとうございます。自分の成人式が2年も前のことだと思うと、懐かしく思います。「もう2年」か「まだ2年」か、捉え方は様々でしょうが、身のまわりでは速いスピードで変化が起き「もう2年」といった感覚に陥っても仕方ないような状況です。新成人の方々も共に未来を創り出していく仲間なのですが、我々が直面する未来は一体どのようなものになっているでしょうか。今日は、「人工知能(AI)」や「情報化社会」という目線から、私たちが生きる未来を考えてみようと思います。

AIの発達で、日本の仕事の半分がなくなるかもしれない。AIが注目される昨今、様々なところで聞くようになりました。そもそもこの予測は2015年、野村総合研究所と英オックスフォード大准教授のマイケル・オズボーンらが発表した調査結果によるものです。日本の労働人口の49%が、10~20年後にはAIやロボットに置き換えられるようになる可能性が高い、というものでした。なくなる仕事に挙げられたのが、一般事務員、受付係、警備員など。ルールに従って作業することが求められる職業は、AIに置き換えられる可能性が高いといいます。

AIの第三次ブームとされる今日、このブームの始まりは「AI研究50年以来のブレークスルー」と呼ばれるディープラーニング(深層学習)に特徴づけられます。従来の機械学習と異なり、人間が教師役にならずとも大量のデータをコンピュータに与えることで、コンピュータがデータの「特徴」を自分で見つけ出す。これがディープラーニングです。必要とされる大量の情報は、ビッグデータと呼ばれます。インターネットやスマートフォンが爆発的に普及し、買い物の履歴、位置情報など大量のデジタルデータが蓄積されるようになりました。走る速さを靴が記録したり、橋が交通状況を記録したり、モノがインターネットとつながることで、私たちの身の回りにもこれまで以上に情報が増える世の中になります。新しい世の中に直面し生きて行くのは、今日成人の日を迎えた20歳をはじめとする若者たちなのです。

AIと情報にあふれていく世の中で、私たちはこれからどうすればいいのでしょうか。子どもたちにICT教育を受けさせることは、珍しいことではなくなってきました。街中や家で、ロボットと接することもさらに増えていきます。慣れないものに不安を感じてしまうのは仕方ない気もしますが、振り返ってみると面白いことがわかります。今年の新成人が生まれた19962月には「ポケットモンスター赤・緑」が、11月には「たまごっち」が発売され大流行しました。「ヤフージャパン」が検索サイトとしてサービスを開始したのが9641日。みな、今日まで当たり前に触れるようになったものです。新しいものはいつの時代も現れて、人間はそれに順応してきました。これから直面する新しい時代、新しい環境をどう乗り越えるかということも、結局は人間の努力しだいということなのかもしれません。

参考記事:

9日付朝日新聞朝刊(東京13)13面 「我々はどこから来てどこへ向かうのかvol.8情報社会」

8日付朝日新聞グローブ189号「人工知能を愛せますか?」